研究課題/領域番号 |
16K10545
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
大木 進司 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20381361)
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研究分担者 |
岡山 洋和 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20583397)
門馬 智之 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20622335)
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 直腸癌 / 術前治療 |
研究実績の概要 |
直腸癌に対する術前治療(放射線療法、化学放射線療法)は術後の局所再発を減らすが、全生存期間の延長に関しては十分なエビデンスが得られていないのが現状である。術前治療に対する抵抗性症例においては、治療に伴う有害事象に加え、手術までの期間に癌の進行も懸念される。一方で術前治療への感受性症例を事前に選別することができれば、局所制御、肛門温存、さらに全生存率の改善にも寄与するのではないかと考えている。しかし現在は治療感受性・抵抗性を術前治療前に予測する有用な指標がない。
本研究は術前生検標本を利用し、複数のマイクロアレイデータに加え、PCR、免疫染色などプラットフォーム間での検証を繰り返すことで、再現性の高い候補遺伝子およびマイクロRNAを抽出し検証することを目的としている。組織の不均一性や網羅的データの疑陽性など既存研究の欠点を独自手法により最小化し、簡便に臨床現場で使用可能なパラフィン切片(FFPE)を最大限活用することで、個々の直腸癌患者の術前治療感受性を予測する個別化バイオマーカーの確立を目指している。
直腸癌の術前生検標本サンプルを含む網羅的解析データを集積しつつある。特に、Affymetrix、Illumina、Agilentおよびcustom arrayなどの種々のマイクロアレイプラットフォームに基づくコホート群、現時点で合計200例を超えるサンプルが集積されている。臨床情報を最大限生かし、プラットフォーム間のアレイprobeデザインを超えた有用なマーカー遺伝子を検索しており、術前治療への応答に関連する遺伝子として、DNA修復に関連するもの、代謝に関連するものなどが抽出されてきている。これらは生物学的な視点からも有用性が期待されるものと考えている。これら候補遺伝子について検出、評価など検討を重ねている。マイクロRNAについても順次解析を試みている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例数やコホートは複数集積ができているが、プラットフォーム間のprobeの違いが予想以上に大きいこと、微小な生検サンプル由来のデータであるため、ノイズがおそらく大きいことなどから、false discoveryが生じやすく、慎重な検討をする必要があり、予備解析に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルの解析、臨床情報の収集に注力する。マイクロRNAへの検討をさらに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種予備実験等に種々の試薬を購入し物品費として使用し、少額の次年度使用額が生じた。次年度の物品費に充当する。
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