研究課題/領域番号 |
16K10547
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原 賢康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80528860)
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研究分担者 |
志賀 一慶 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (20747282)
高橋 広城 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30381792)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管新生 / 癌間質相互作用 / 癌関連線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
まずCAFからの血管新生因子の分泌に炎症性サイトカインIL-6が関与していることに注目、このIL-6の分泌を抑制する因子として不飽和脂肪酸EPAを用いてCAFからのVEGFなどの血管新生因子の分泌抑制が起きるかを明らかとした。下準備としてEPAのCAFに与える影響を明らかにするため様々な濃度下でCAFを培養、増殖に50%の影響を来すIC50値を明らかとした。今後この値と中心にEPA濃度を用いていくこととした。 方法としては癌細胞とCAFとの共培養下でEPAを投与、その上清中に含まれるIL-6タンパク値、VEGFタンパク値をELISAを用いて測定した。結果としてIL-6存在下ではVEGF分泌が亢進すること、EPAによってIL-6分泌が抑制されること、またEPA存在下ではVEGF分泌も抑制されることを明らかとした。次に、この抑制がVEGF単独で抑制されるのかIL-6を介した分泌として抑制されるのかを明らかとするために、EPA存在下にIL-6を、濃度をかえて投与したところIL-6濃度を増加することでVEGF分泌濃度も増加した結果が得られておりEPAはVEGF産生を直接阻害するのではなくIL-6による分泌刺激を抑制することでVEGF分泌を抑制していることを明らかとした。 これらのIL-6分泌、或は分泌抑制にかかわるシグナルを明らかにするためEPA存在下に培養したCAFからのタンパクを抽出、STAT3 signalの下流であるERK,MAPKのリン酸化の抑制について明らかにすることを試みたが今回の検討ではsignalの変化を明らかにすることはできなかった。 ERK,MAPKを関係するシグナルとして考えているため再度同様の実験を行う予定であるが結果が芳しくなければ別のシグナルを検討することも視野においている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Signal解析が明らかにできていない点はあるがおおむね期待した結果は得られている。CAFからの血管新生因子の分泌とその刺激因子はある程度同定できており、あとはまずその流れを明らかにすることが必要と考えている。VEGF以外の血管新生因子については上清が獲得済みであり、この情勢のmultiangiogenesis assayを行えば分泌亢進される血管新生因子に関してはある程度容易に同定することか可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは昨年度明らかにしえなかったsignalについて再度検討していく予定である。更には獲得してある上清を解析してVEGF以外の血管新生因子を同定、それらについてもsignalを解析していく予定である。 ここまでの結果は当初の予定と合致するものであり本年度は前々項で示した予定通りの方針で行っていく予定である。
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