研究課題
術前化学療法を施行したcStageIII直腸癌症41例のうち組織学的に奏功した症例の3年無再発生存率は奏功しなかった症例より有意に良好であった(92.9% vs. 62.9%, p<0.05)。組織学的効果が予後予測因子となることを明らかにした。これらの症例の化学療法前、化学療法中(2コース終了時)、化学療法終了時の血液サンプルを行血液サンプルからcirculating cell free DNA(ccfDNA)を抽出し、癌由来ccfDNAを反映するlong fragment/short fragment比(DNA integrity比: DI)を算出した。DIが治療終了時に治療前と比較し20%以上の変化のあったものは、有意に組織学的奏功例が多く、DI変化率が組織学的効果を反映し、予後予測のマーカーとなることが示された。しかし化学学療法中のDI変化率は奏功例において変化率20%以上の症例が多く、組織学的効果を反映する傾向はあったが、治療中における効果予測マーカーとしての有用性を示すことはできなかった。ccfDNA総量変化をマーカーとすることからccfDNA中の癌特異的点変異をマーカーとすべく、治療前の生検サンプルでras変異を認めた症例のccfDNAによるras検出率と化学療法による変異ras遺伝子のコピー数をdigital-PCRによって測定した。化学療法前にras変異のあった18例中、治療前にccfDNAで変異を検出したのは9例で感度は低かったものの、組織学的に奏功した症例では治療中に変異遺伝子は消失し、化学療法による腫瘍量の減少をccfDNAが反映していると考えられた。測定感度を向上することができれば、術前化学療法の効果予測法として臨床応用が可能と考えられた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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