がん幹細胞が転移などの過程に関与している事が明らかになりつつある。本研究において、大腸がん臨床検体由来のがん幹細胞の特質を有するスフェロイド細胞において網羅的メタボローム解析と遺伝子発現解析を行った所、原発巣由来に比べ、肝転移巣由来のスフェロイド細胞において、キヌレニン量が増加し、キヌレニン合成酵素TDO2の発現が亢進していた。マウス大腸がん細胞株において肝転移への影響を検証した所、TDO2 過剰発現細胞において肝転移が亢進し、転移巣における免疫細胞の集積が変化していた。これらの知見より、TDO2の発現誘導は、キヌレニンの産生増加、免疫系の制御を介して、大腸がん転移を促進すると考えられた。
|