研究課題/領域番号 |
16K10561
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
神山 俊哉 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80322816)
|
研究分担者 |
西村 紳一郎 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (00183898)
島田 慎吾 北海道大学, 大学病院, 医員 (40755576)
若山 顕治 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (50646544)
武冨 紹信 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70363364)
横尾 英樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (70399947)
折茂 達也 北海道大学, 医学研究院, 助教 (80711861)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 糖鎖 / 浸潤 / 転移 / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
癌細胞が発現している糖鎖と癌の悪性度:浸潤能、上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transformation, EMT)との関連性を解明することを目的とした。肝癌細胞株にいて、細胞外マトリックスの破壊に関連するurokinase type plasminogen activator(u-PA)の産生能と糖鎖の関連性を解析した。浸潤能の異なる3種類の肝癌細胞株(HLE、HLF、HepG2)の培養細胞を用いた。各細胞で、u-PAの発現をWestern Blotで評価した。浸潤能の変化をMatrigel Invasion Assayで解析した。全自動血清糖鎖プロファイル解析装置により糖鎖の精製と構造解析を行った。その結果、HLEはu-PAの産生が高く、HepG2はu-PAの産生が最も低く、HLFはその中間でであった。浸潤能はu-PA産生能に応じて、HLEは高浸潤能を有し、HLF、HepG2に順であった。次に浸潤能の異なる2種類の肝癌細胞株(HLE、HepG2)の培養細胞を用い、各細胞で、E-Cadherin、N-Cadherinの発現をWestern Blotで評価した。高浸潤能肝癌細胞株HLEでは、E-Cadherinの発現低下し、低浸潤能HepG2の細胞株は高発現していた。N-Cadherinはともに発現していたが、低浸潤能HepG2の方が高発現していた。高浸潤能肝癌細胞株HLEと低浸潤能HepG2の2つの細胞株における、グライコブロッティング法による糖鎖の網羅的定量解析では全86種類の糖鎖が検出された。HepG2とHLE間での糖鎖発現の比較では、浸潤能の高いHLEにおいて11種類の糖鎖が増加していた。今後は、この浸潤能、上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transformation, EMT)と特異的糖鎖の発現を検証するために、E-Cadherinの発現を抑制・亢進させる方法を確立させ、糖鎖の変化を検討する。さらにE-Cadherinの糖鎖結合部が変異した株を作成できたので、これらの細胞株の糖鎖の変化を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
E-Cadherinの発現を抑制・亢進させるところが進んでいないため、糖鎖の変化を検討することができていない。さらにE-Cadherinの糖鎖結合部が変異した株を作成し、糖鎖の変化を検討したいが、変異した株の作成が可能となったばかりである。
|
今後の研究の推進方策 |
この浸潤能と特異的糖鎖の発現を検証するために、E-Cadherinの発現を抑制・亢進させる方法を確立させ、糖鎖の変化を検討する。さらにE-Cadherinの糖鎖結合部が変異した株を作成できたので、これらの細胞株の糖鎖の変化を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
浸潤能、上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transformation, EMT)と特異的糖鎖の発現を検証するために、E-Cadherinの発現を抑制・亢進させ、糖鎖の変化を検討することを目標としていたが、E-Cadherinの発現を抑制・亢進させた肝癌細胞株の作成がおくれているため。さらにE-Cadherinの糖鎖結合部が変異した株を作成したが、これらの細胞株の糖鎖の変化が検討出来ていない。
|