研究実績の概要 |
[内容]腫瘍細胞・血小板を染色し、ラット生体内で観察可能か検討した。 [方法]ラット大腸癌細胞株RCN-H4を培養し、NBD-C12-HPCを用いて染色した。また蛍光染色による影響を検討するため、異なる濃度のNBD-C12-HPC(0.5mg, 1.0mg, 1.5mg, 2mg)で染色し、大腸癌細胞株の生存率を確認した。上記染色した腫瘍細胞をラットに動注し観察が可能か確認した。さらにRhodamine6Gでラット血小板を染色し、生体蛍光顕微鏡下で腫瘍細胞・血小板に相互作用を認めるか検討した。[結果]RCN―H4をNBD-C12-HPC(0.5mg, 1.0mg, 1.5mg, 2.0mg)で30分培養し細胞の生存率を測定したところ、いずれの濃度でも生存率は97-99%であった。生体蛍光顕微鏡で観察すると腫瘍細胞の蛍光は遮光フィルター2枚使用すると観察できず、1枚ならば観察可能であった。NBD-C12-HPC(1.0mg, 2.0mg)で染色した細胞を用いてラット生体内で観察可能か検討したが、腫瘍の蛍光量が低く生体内で検討するのが困難であった。腫瘍細胞を観察するため光量を上げると、熱により類洞血流が低下した。 また、Rhodamine6Gで染色したラット血小板を投与し、腫瘍細胞との相互作用が観察可能か検討したが、腫瘍細胞の同定に難渋し、十分な観察はできなかった。しかしながら1箇所で腫瘍細胞と血小板が類洞の同部位に膠着していた。[考察]腫瘍細胞、血小板を染めるのに適した蛍光を検討する必要があると考えられた。腫瘍細胞を観察するための光量で類洞が熱損傷を受けるため、冷却方法を考える必要がある。しかしながら、1箇所ながら腫瘍細胞と血小板が類洞の同部位に膠着している部位を認めた。血小板と腫瘍細胞が膠着している可能性が示唆され、両者の相互作用が転移形成に影響を及ぼすか検討する必要がある。
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