研究課題/領域番号 |
16K10564
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
|
研究分担者 |
高野 重紹 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20436380)
高屋敷 吏 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456024)
久保木 知 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50571410)
吉富 秀幸 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (60375631)
宮崎 勝 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (70166156)
賀川 真吾 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90507302)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 転移性肝癌 / 増殖 / 浸潤 / EMT / KLF |
研究実績の概要 |
本研究では、癌転移制御のkey moleculeとして我々がこれまでに研究を行ってきたケモカインレセプターCXCR4の上流調節因子としての転写因子Kruppel-like factor (KLF) familyに注目し、原発巣から他臓器転移形成過程における細胞増殖、浸潤、遊走能、EMT等との関連を明らかにすることを目的に研究を開始している。 初年度から本年度にかけて、当科で大腸癌肝転移に対して初回肝切除を行った症例のサンプルを使用し、KLF5、KLF17の免疫組織化学染色を施行。KLF5、KLF17の腫瘍細胞における発現をスコア化し、臨床病理学的因子、予後等との相関を検討した。KLF5高発現群では腫瘍径が大きく、H2、H3症例が多い結果となった。全生存期間では、初回手術からの全生存期間、肝切除術後からの全生存期間いずれもKLF5高発現群が有意に予後が悪いという結果となった。無再発生存期間についても同様の傾向が見られた。KLF17については、発現の程度と臨床乏理学的因子、予後等との相関は認めなかった。 in vitro実験ではヒト大腸癌原発巣細胞株SW48におけるKLF5の発現を確認しこれを用いて各種実験を行った。当初Tet-On/Tet-Off systemによるKLF5の発現制御下に実験を行う予定であったが効率が安定しないため、SiRNAを用いてKLF5のKnock downを行った。細胞増殖能、自己複製能はいずれもKLF5 knock downにより有意に減弱しており、臨床データと一致する結果となった。浸潤能、遊走能等は現時点では有意な結果は得られておらず、条件を変更しつつ検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と若干の前後はあるものの、臨床サンプルを用いた免疫染色とその結果に基づいた臨床病理学的因子、予後解析を施行し、一定の結果が得られた。また、in vitro実験も、KLFの発現制御の手法は第一選択ではないが、SiRNAによるknock downも当初から想定しており、これを用いて各種検討を施行した。臨床データと一致した結果も得られており、おおむね順調と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルを用いた解析を、症例数を増やし、さらに詳細に行う。また、in vitro実験を進め、結果が出たものについてはKLF5の標的遺伝子の解析を進める。最終的にはマウスを用いたin vivo実験でKLF5の機能解析を行っていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初学会参加費、旅費等として計上していた予算が学会参加日程等の変更により実際の出費額が低くなり、余剰が生じた。 (使用計画) 余剰分は次年度に繰り越し、in vitro実験の消耗品(medeium等)の購入に充当する計画である。
|