研究課題/領域番号 |
16K10568
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水野 隆史 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90444413)
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研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Pre-metastatic niche / TPX2 |
研究実績の概要 |
Pre-metastatic nicheは、原発巣の癌細胞が産生するサイトカインなどが、遠隔臓器の血管内皮前駆細胞などの間質細胞を活性化させ、遠隔臓器に作らせる癌細胞の転移しやすい環境のことである。TPX2 (targeting protein for Xklp2)は浸潤に関連する遺伝子の1つである。TPX2による浸潤メカニズムにおいて血管新生関連分子IGFBP3に関連していることを報告している。 膵癌細胞株PANC1、KLM1、大腸癌細胞株DLD1、HCT15におけるTPX2の発現についてウェスタンブロティング法にて検討した。PANC1のTPX2発現量を1としたときのKLM1のTPX2発現量は0.4122、KP4のTPX2発現量は0.3275、DLD1のTPX2発現量は0.6800、HCT15のTPX2発現量は0.6304であった。TPX2遺伝子の発現量は、膵癌細胞株PANC1で最も高発現していた。 膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4にTPX2 siRNAを導入し、TPX2の抑制効果をウェスタンブロティング法により検討した。PANC1のコントロール群でのTPX2発現を1にした場合、siTPX2による抑制効果は0.4072、KLM1 での抑制効果は0.8507、KP4では十分に抑制できなかった。 膵癌細胞株PANC1、KLM1へのTPX2 siRNAを導入後のMCP1の発現をウェスタンブロティング法により検討した。PANC1のコントロール群でのMCP1発現を1にした場合、MCP1による抑制効果は2.227、KLM1 での抑制効果は1.852であった。 siTPX2の導入により、TPX2の発現量が低下したPANC1とKLMではコントロール群と比較してMCP1発現量が増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌細胞株PANC1、KLM1、大腸癌細胞株DLD1、HCT15におけるTPX2の発現抑制による浸潤抑制においてMCP1発現亢進が関与していることを明らかにした。しかしヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討などがまだ不十分であり、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
PX2発現抑制による血管新生関連分子の機能解析:平成28年度の研究により膵癌細胞株PANC1とKLMでは siTPX2の導入後のTPX2の発現低下によりMCP1発現量が増加していた。MCP1、IGFBPなどの血管新生関連分子を大腸癌、膵癌の細胞株へと投与し、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。浸潤能、運動能に抑制効果または亢進効果を持つ血管新生関連分子に対するsiRNAを作成する。大腸癌、膵癌の細胞株へsiRNAを導入し浸潤能、運動能を検討する。 膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4に対してTPX2 siRNAを導入し、TPX2の発現を抑制させた細胞の培養液を採取する。採取した培養液を用いて癌細胞株の培養を行ない、増殖能(MTTアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。 ヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討:大腸癌、膵癌の肝転移組織でのパラフィンサンプルの免疫染色、凍結標本のreal time PCR、ウェスタンブロティングにより血管新生関連分子の発現を検討する。その発現量と予後、悪性度等との関連を明らかにする。 肝転移モデルにおける血管新生関連分子の転移への影響の検討:大腸癌、膵癌の門脈内投与によりラット肝転移モデルを作成する。IGFBP3、MCP1などの血管新生関連分子の門脈内投与を行い、肝転移数および肝転移の腫瘍体積を検討する。また肝転移モデルでは癌細胞投与1週目より微小転移が形成されており、2週から3週で肉眼的な転移が形成される。ラット肝転移を経時的に採取し、肝転移周囲の炎症細胞の浸潤や血管新生について病理学的検討により血管新生関連分子の発現を経時的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
タンパク発現の解析を行なうウェスタンブロティングの機器が故障し、研究が十分にできなかった。機器購入後、研究は再開できたが、予定していた研究の一部が年度内にできなかった。また研究代表者が平成28年7月から平成29年6月まで1年間海外留学中であり、研究分担者が研究をすすめたが、研究代表者の担当するヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討などが年度内にできなかった。これらの理由により使用予定額に残りが発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
年度内にできなかったヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討を行なう。大腸癌、膵癌の肝転移組織でのパラフィンサンプルの免疫染色、凍結標本のreal time PCR、ウェスタンブロティングにより血管新生関連分子の発現を検討する。その発現量と予後、悪性度等との関連を明らかにする。 TPX2発現抑制による血管新生関連分子の機能解析:MCP1、IGFBPなどの血管新生関連分子を大腸癌、膵癌の細胞株へと投与し、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。 膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4に対してTPX2 siRNAを導入し、TPX2の発現を抑制させた細胞の培養液を採取する。採取した培養液を用いて癌細胞株の培養を行ない、増殖能(MTTアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。
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