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2017 年度 実施状況報告書

Pre-metastatic nicheを制御する新規転移抑制治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K10568
研究機関名古屋大学

研究代表者

水野 隆史  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90444413)

研究分担者 梛野 正人  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378023)
山口 淳平  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードPre-metastatic niche / TPX2
研究実績の概要

TPX2 siRNAを導入し、TPX2の発現を抑制させたヒト胆管癌細胞株HuCCT1、ヒト大腸癌細胞株DLD1での増殖能(MTTアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討した。膵癌細胞株での結果と同様に、いずれの細胞株においても増殖能が抑制され、浸潤能および運動能に関しても抑制された。TPX2が胆管癌、大腸癌においても増殖や浸潤に関与していることが示唆された。
TPX2 siRNAを導入し、TPX2の発現を抑制させた膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4の培養液を回収する。この培養液を用いてそれぞれの膵癌細胞株の培養を行ない、増殖能(MTTアッセイ)、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討した。一般的に、増殖を抑制させた細胞と増殖を抑制させていない細胞の培養液を用いて細胞培養を行なった場合、増殖を抑制させた細胞のほうが培養液中の血清等の消費が抑制される。そのため増殖を抑制させた細胞の培養液での培養の方が、相対的に細胞が増殖する。しかし、TPX2 siRNA 導入によりTPX2の発現が抑制された膵癌細胞株においては、TPX2の発現抑制により癌細胞の増殖が抑制され、培養液中の血清等の消費が抑制されたにもかかわらず、TPX2 siRNA導入群において増殖が抑制された。また浸潤能に関してもTPX2 siRNA 導入によりTPX2の発現が抑制された膵癌細胞株の培養液のほうが、TPX2の発現が抑制されていない膵癌細胞株の培養液より浸潤能が亢進していた。TPX2の発現抑制により癌細胞から分泌されたものが、副次的効果をおこしていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4に対してTPX2の発現を抑制させた細胞の培養液に癌細胞の増殖抑制効果および浸潤能抑制効果があった。TPX2の発現抑制により癌細胞から分泌されたものが、副次的効果をおこしていることが示唆され、新たな知見が得られた。しかし、そのメカニズムや分泌されたものの同定などが明らかにできていない。またヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討などがまだ不十分であり、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

TPX2の発現を抑制させた膵癌細胞株PANC1、KLM1、KP4の培養液に癌細胞の増殖抑制効果および浸潤能抑制効果があり、TPX2の発現抑制により癌細胞から分泌されたものの副次的効果が示唆された。そのメカニズムおよび分泌されたものの同定を行う。
これまでの研究により膵癌細胞株PANC1とKLMでは siTPX2の導入後のTPX2の発現低下によりMCP1発現量が増加していた。MCP1、IGFBPなどの血管新生関連分子を大腸癌、膵癌の細胞株へと投与し、浸潤能(インベーションアッセイ法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。浸潤能、運動能に抑制効果または亢進効果を持つ血管新生関連分子に対するsiRNAを作成する。大腸癌、膵癌の細胞株へsiRNAを導入し浸潤能、運動能を検討する。
ヒト臨床検体での血管新生関連分子の臨床病理学的検討:大腸癌、膵癌の肝転移組織でのパラフィンサンプルの免疫染色、凍結標本のreal time PCR、ウェスタンブロティングにより血管新生関連分子の発現を検討する。その発現量と予後、悪性度等との関連を明らかにする。
肝転移モデルにおける血管新生関連分子の転移への影響の検討:大腸癌、膵癌の門脈内投与によりラット肝転移モデルを作成する。IGFBP3、MCP1などの血管新生関連分子の門脈内投与を行い、肝転移数および肝転移の腫瘍体積を検討する。また肝転移モデルでは癌細胞投与1週目より微小転移が形成されており、2週から3週で肉眼的な転移が形成される。ラット肝転移を経時的に採取し、肝転移周囲の炎症細胞の浸潤や血管新生について病理学的検討により血管新生関連分子の発現を経時的に検討する。

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公開日: 2021-12-27  

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