研究課題/領域番号 |
16K10571
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井口 公太 京都大学, 医学研究科, その他 (40771118)
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研究分担者 |
池川 雅哉 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60381943)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (80359801)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Heat stabilizer / 臓器前処理 / 代謝物一斉定量 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究計画項目Aの「代謝物可視化向上のための至適条件検討」については概ね目標を達成した。即ちHeat stabilizer(以下HS)による熱処理効率向上のための条件は①「臓器が多少分厚くても薄くても問題ない」、②「液体窒素で凍結した臓器のHS処理はATP低下を引き起こし、不適である」、「摘出後4℃冷却した臓器のHS処理はATP維持につながり、適切である」、③「川本法の使用はHS臓器の薄切を容易に施行可能で、Conductive tapeを使用することにより、質量分析測定が可能である。」、「川本法は質量分析の際の熱伝導効率の低下、薄切後のフィルム上での常温に戻る際のひび割れの増悪が課題である。」、「川本法を使用しなくても薄切温度を通常の-20℃から-10℃に上げることにより、十分薄切は可能である。」、「HS処理後薄切のために臓器凍結するためにはドライアイスによる緩徐な凍結ではなく、液体窒素による急速な凍結が、薄切切片上での氷晶形成を予防出来るため、ひび割れ軽減に有用である。」が今年度明らかにした事項である。 研究計画項目Bの「IMSでの組織学的構造別ATP定量手法の提案」については方針を変更するべきと考えている。即ち肝臓実質内ATPと血管内腔ATPの定量手法につき提案したが、HS処理を臓器に施すと、血管内腔ATPの情報が失われることが判明した。一方、前項記載のHS条件毎のATP定量をLuciferase assayにて実施した。また四重極型質量分析計(Q Exactive; Thermo Fischer)による網羅的代謝物質の一斉定量を実施し、結果につき考察中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定した実験計画については概ね順調に進行している。一方で【研究実績の概要】で示した通り、組織学的構造別のATP定量については方向変換すべきと考える。
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今後の研究の推進方策 |
HS処理に伴う条件毎・70&90%肝切除後の代謝物一斉定量の結果を考察中であり、ある酵素蛋白に着目し、ウェスタンブロットなどを実施している。この結果がうまく進めば、酵素阻害による肝再生の促進などの生化学的メカニズムにつき追究出来る可能性があると考える。
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