研究課題/領域番号 |
16K10573
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
楳田 祐三 岡山大学, 大学病院, 助教 (10573735)
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研究分担者 |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00304303)
八木 孝仁 岡山大学, 大学病院, 教授 (00304353)
永坂 岳司 岡山大学, 大学病院, 講師 (30452569)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大腸癌肝転移 |
研究実績の概要 |
1.大腸癌原発巣・肝転移巣サンプル収集およびGenetic/Epigenetic解析:これまでの蓄積サンプルに加えて、岡山大学病院消化管外科・肝胆膵外科にて行われた進行大腸癌・転移性肝癌切除症例より組織サンプルを収集・保存し、DNA抽出を行い、Genetic/Epigenetic解析を行った。更に臨床試験(UMIN ID 7236, 8377, 9698, 11954, 11955)への付随研究として、試験参加患者からの血液サンプルを収集している。 2. 循環miRNAの産生形態を証明するための基礎実験:“活性細胞”から能動的に放出されたExtracelullar vesicleと言われる膜小胞によるパッケージ(EV-miRNA)、抗癌剤による“腫瘍細胞死”に伴って受動的に放出されアルゴネイチャーファミリー(特にAGO2蛋白)と複合体を形成したAGO2-miRNAの産生形態を証明するために、大腸癌細胞株に対して抗癌剤(5FU)投与下でのCell viability評価を継続している。抗癌剤投与下で障害細胞から放出された乳酸脱水素酵素(LDH)を高感度に測定した(LDH assay)。 更に培養液中のmiRNA測定を経時的に行うことで生存細胞代謝・死滅細胞との意義付けを証明するべく実験アッセイが確立されつつある。 3. .Liquid Biopsyとして、経時的循環miRNAの測定、病勢評価の検討:研究対象は、肝転移に特異的なmiR-200cの他、KRAS/BRAF変異に相当するmRNAを対象とする。既存血液サンプル50例に加えて、新規の大腸癌肝転移発見時、肝切除術前、術後のFollow upにおいて経時的に末梢血を採集する。末梢血採血の収集サンプルのEV-miRNA/AGO2-miRNAを測定し、測定dataを集積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル集積・解析について、順調にDataは蓄積されつつあり、Liquid biopsyの候補となる循環miRNA候補と臨床経時的data(腫瘍マーカーなど血液検査、各種画像検査所見)との比較検討を将来的に行うべく準備は順調に進んでいる。 更に治療方針確立に有意義となる腫瘍病勢評価としての循環血液中のmiRNAについて、細胞株を用いた基礎実験を併行しており、評価の裏付けを得るともに臨床応用可能なアッセイ確立に向けて、順調に実験は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍病勢評価の指標となり得るLiquid Biopsyの検査手技を確立するために、蓄積された経時的循環miRNAの測定dataと、従来既存の腫瘍マーカー推移、CT画像変化とを比較検討していき、循環miRNAの意義を証明する。具体的には、① EV-miRNAと再発率との相関、② EV-miRNA/AGO-2-miRNAと化学療法奏功率との相関、③既存腫瘍マーカーとの精度の比較を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
大腸癌原発巣・肝転移サンプル収集、及びGenetic/Epigenetic解析を行う中で、リアルタイムPCR、細胞培養に用いる試薬・抗体購入を予定していたが、予定よりも少ない量で順調に結果が得られたために、次年度繰越研究費が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、既存札細胞剤・分子標的薬併用についての基礎実験、及びin vivo実験実施にあたり費用がかかるために、繰越研究費を充てる予定である。
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