研究課題
前年度に続き、肝移植後の調節性B細胞の機能を解明することにより、臓器移植後の個別化免疫抑制療法開発(免疫抑制剤の減量あるいは離脱)の基盤となる研究を行うことを目的とし、当科で生体肝移植術を施行したレシピエントの内、3年以上経過し外来通院中の患者18名からサンプリングを行った(免疫抑制剤を減量できている患者群:tolerant patients(TOL)4名、減量できていない患者群:stable patients(STA)14名)。また対照となるhealthy volunteer(HV)として当科の医局員のうち持病のない者5名からサンプリングを行った。サンプリングした全血からリンパ球を抽出し、MACS、FACSを用いてB細胞分画の測定を行った。調節性B細胞(CD20+CD24hiCD38hi)はHV(n=5)で3.90±1.05%、TOL(n=4)で0.87±0.44%、STA(n=14)で0.30±0.12%の発現であった。ナイーブB細胞(CD20+CD24loCD38lo)はHVで55.4±0.97%、TOLで30.2±13.0%、STAで19.2±5.4%であった。形質細胞(CD20-CD38+CD138+)はHVで1.57±0.40%、TOLで2.07±1.52%、STAで3.67±0.92%であった。これは2014年にAmerican Journal of transplantationに報告された腎移植後患者での検討とHVにおいてほぼ同等の値であった。当科で免疫抑制剤を使用している患者ではTOL、STAともに既報と比べて調節性B細胞、ナイーブB細胞は少なく、形質細胞は多かった。既報と免疫抑制剤の量と種類が異なることが関係していると思われた。これまで得られた知見をまとめ、学会、論文発表していく予定である。
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