研究課題
難治性疾患の一つである肝細胞癌の分子機序解明を目的とし、ストレス応答転写因子Nrf2の臨床病理学的意義(平成28年度)および肝細胞癌細胞株を用いた機能解析(平成29年度)を行い、悪性度獲得への関与を明らかにしてきた。Nrf2シグナルの下流に存在するNqo1の発現を、肝細胞癌臨床検体127例を用いて検討を行った。Nrf2高発現症例においてNqo1遺伝子発現は有意に高かった。Nqo1高発現症例は悪性度(腫瘍マーカー、腫瘍径、肝内転移)に関与し、生存率において予後不良であった。がんの代謝と腫瘍免疫との関連を明らかにするため、肝細胞癌におけるPD-L1発現と末梢血中の白血球分画との関連について検討を行った。白血球分画として好中球、リンパ球、単球を用い、好中球/リンパ球比、血小板/リンパ球比、リンパ球/単球比を算出し、肝細胞癌に対して肝切除を行った281症例の臨床病理学的因子および予後との検討を行った。予後に関しては多変量解析にてリンパ球/単球比が独立した予後不良因子であった。リンパ球/単球比が低い症例で腫瘍マーカーが高値、腫瘍径が大きく、低分化肝細胞癌が有意に多かった。PD-L1発現は切除標本を用いて抗PD-L1抗体を用いた免疫組織化学染色にて評価した。PD-L1発現症例において有意にリンパ球/単球比が低かった。リンパ球/単球比が高く、PD-L1発現陰性の症例は予後が最も良好であった。
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10.1002/bjs5.50170
The American Journal of Surgery
10.1016/j.amjsurg.2019.03.010
Journal of Gastrointestinal Surgery
10.1007/s11605-018-3993-5