2018年度は大腸癌肝転移のHVEM発現が予後に与える影響を検討すべく,腫瘍内浸潤リンパ球の免疫染色を施行した.また,原発巣のHVEMとの発現と転移巣のHVEM発現を比較し,同時性肝転移では両者の高発現が多い一方,異時性肝転移では両者の発現に相関がみられないことを発見した.これらはいずれも過去に論文報告されていない発見であり,HVEM発現のみに関わらず,大腸癌肝転移の同時性,異時性の生物学的多様性の考察における重要な発見と考えられた. 大腸癌肝転移におけるHVEM発現は,大腸癌肝転移切除後の予後と相関し,HVEM高発現は腫瘍内浸潤リンパ球の減少と関連していることを発見しており,これらに上記に内容を加えて最終的な検討を開始した, これまでの期間に集約したデータをもとに論文作成し,英文校正の上で投稿を行った.具体的には英文誌,Annals of surgical oncology (インパクトファクター 3.857)に投稿し,minor revisionの結果であった.現在revisionを行い,再提出の準備を進めている段階である.順調にいけば,2019年度内にはpublishされるものと予想される. また,これまでに集積したデータを用いて和文の依頼原稿「大腸癌肝転移の治療方針」を執筆し,現在in pressの状態である. 今回集積した研究成果を発展させた研究テーマ「化学療法と免疫療法を融合させた新規治療」にて2019年度の科研費を獲得した.今後も本研究テーマを継続する予定である.
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