研究課題/領域番号 |
16K10580
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
野見 武男 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50570991)
|
研究分担者 |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60316081)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ADAMTS13 / 肝切除 / VWF抗原量 / UL-VWFマルチマー発現 |
研究実績の概要 |
Von Willebrand Factor(VWF)は,血管内皮細胞において合成され,unusually large VWF multimers (UL-VWFM)として血中に放出される.UL-VWFMは強い血小板凝集能を有し,UL-VWFMの増加は血栓形成の一因となる.一方,肝臓手術における虚血再灌流傷害の主要な標的が血管内皮細胞であることは知られている.そこで我々は肝切除がUL-VWFMに及ぼす影響について検討した.当科にて肝切除を施行した35例を対象とした.術前・術中・術後に血液をサンプリングし,ADAMTS13活性・VWF抗原量測定とUL-VWFM分析を行った.ADAMTS13活性,VWF抗原量はELISA法にて解析した.Normal plasmaに検出されない高分子量バンドをUL-VWFMと定義し,UL-VWFM index(UL-VWFM/normal plasma)として従来困難とされていたUL-VWFMの定量化を行った.ADAMTS13活性は術後有意に低下し(p<0.001), VWF抗原量は術後有意に増加した(p<0.001).UL-VWFM indexは術前値0.2%(0.0-7.8)から術後7日目に4.2%(0.1-16.3)と有意に増加した(p<0.001).術後UL-VWFMpositive群は22例,negative群は7例であった.術前因子は2群間に有意差は認めなかった.手術因子では,UL-VWFM positive群においてPringle時間は有意に長く(p=0.001),出血量は有意に多かった(p=0.003).多変量解析では,Pringle時間が術後UL-VWFM出現に関する独立した規定因子であった(p=0.043).さらにUL-VWFM indexは,Pringle時間と正の相関を示した(r=0.444,p=0.017).したがってPringle法に伴う虚血再灌流傷害によりUL-VWFMが増加することが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝切除症例におけるADAMTS13活性,VWF抗原量,UL-VWFマルチマー発現の測定が終了した.現在論文執筆中であり,まもなく投稿予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
現在論文執筆中であり,まもなく投稿予定である.
|