研究課題
肝虚血再潅流障害は肝切除手術、肝移植などの肝外科領域で起こりうる病態である。肝虚血再潅流肝障害が遷延し、その後の肝修復過程が障害されると、移植肝拒絶や慢性肝障害、肝機能肝不全などの合併症をおこし患者の予後が不良となる。これまで誘導型プロスタグランジンE2合成酵素から産生されるPGE2が急性肝障害後の肝修復に関与すること、プロスタグランジン(PG)E2受容体サブタイプの一つであるEP4受容体シグナルはマクロファージを炎症性マクロファージ(M1様マクロファージ)に形質転換させること、逆にEP3受容体シグナルはマクロファージを修復性マクロファージ(M2様マクロファージ)に転換させる可能性があることを見いだした。培養骨髄マクロファージを用いてマクロファージの分化にプロスタグランジン(PG)E2受容体シグナルの関与を検討すると、マクロファージはEP3受容体シグナルに依存してM2様マクロファージへ分化する傾向を認めた。一方、EP4受容体シグナルはM1様マクロファージへ分化する傾向を認めた。この結果から肝虚血再潅流障害後の肝修復にはEP3受容体シグナルが肝修復を促進させるものと考えられた。樹状細胞が肝修復に関係していることを検討するために、樹状細胞の肝集積を経時的に検証した。また肝樹状細胞集積がEP3シグナルに依存しているかどうかを調べた。さらに集積した肝樹状細胞が骨髄由来であるかどうかを検証するために、骨髄キメラマウスを作成して検討した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
J Hepatol
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