研究課題/領域番号 |
16K10583
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高木 惠子 日本大学, 医学部, その他 (20339328)
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研究分担者 |
緑川 泰 日本大学, 医学部, 准教授 (10292905)
尾崎 俊文 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ DNA損傷シグナル研究室, 室長 (40260252)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝内胆管癌 / ChB-PIP |
研究実績の概要 |
融合遺伝子発現株の作製の準備として、前年度までに、FGFR2-BICC融合遺伝子の融合領域に特異的に結合するChB-PIP(クロラムブシルーPIポリアミド)の合成ができたため、今回は融合遺伝子発現株の作製準備にとりかかった。3×10^5cells/mlのICC(肝内胆管癌)細胞株Huh28、TKKKに対して遺伝子導入試薬リポフェクタミン3000(Thermo Fisher)を用いてトランスフェクションを行った。その後、RN easy Mini kit(Qiagen)を用いRNAを抽出し、遺伝子発現量をreal-time PCRを行い測定した。その結果、コントロール群と比べ、融合遺伝子プラスミド導入群の遺伝子発現量はHuh28株、TKKK株共に有意に高発現であった(p<0.01)。これにより一過性発現を確認することができた。現在、安定株の樹立のため3×10^5cells/mlのHuh28株、TKKK株にリポフェクタミン3000による遺伝子導入を行った後G418(Geneticin)を用いてセレクションを行い、ある程度の大きさになったG418耐性コロニーを回収し、回収した細胞は、96wellプレートのスモールスケールより徐々にスケールアップをし、細胞よりRNAの抽出後遺伝子発現量をreal-time PCRで測定してコントロール群と融合遺伝子プラスミド導入群の遺伝子発現量を測定し、両者の差を検討し、再現性を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1、ChB-PIPによる配列特異的アルキル化の確認については条件検討を行っており、未だ配列特異的なアルキル化の有無の確認が判定できていない。 2、融合遺伝子陽性のICC細胞株の樹立を行うため、細胞株Huh28、TKKKに対して遺伝子導入試薬リポフェクタミン3000(Thermo Fisher)を用いてトランスフェクションを行った後、RN easy Mini kit(Qiagen)を用いRNAを抽出し遺伝子発現量をreal-time PCRを行い測定した。その結果コントロール群と比べ、融合遺伝子プラスミド導入群の遺伝子発現量はHuh28株、TKKK株共に有意に高発現であった(p<0.01)。これにより一過性発現を確認することができたが、未だ安定発現細胞株が作製できておらず、様々な条件検討を行い作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
Chb-PIPによる配列特異的アルキル化の確認と融合遺伝子発現安定株の作製を行う。作製された融合遺伝子発現安定株に対して、前年度 合成したChB-PIPを濃度別に投与し、導入されている融合遺伝子に特異的アルキル化が起きているかどうかの確認を行う。次に、ChB-PIP投与により融合遺伝子発現安定株でのFGFR2-BICC1陽性細胞特異的に抗腫瘍効果を示すかどうかを検討する。また、ChB-PIP投与により、過剰発現させている融合遺伝子の発現に変化があるかどうかを検討し、ChB-PIP投与による下流遺伝子の発現への影響を確認する。その後ChB-PIPのin vitroにおける特異的アルキル化能と抗腫瘍効果の確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 現在進捗状況として、やや遅れており、Chb-PIPによる配列特異的アルキル化の確認が未だ判定できていない。また、現在融合遺伝子発現安定株の作製を試行中である。そのため、それらに使用するはずであった試薬などの消耗品を購入しなかったため。 (使用計画) 1、蛍光色素でラベルした標的DNAをChB-PIPとともにインキュベートし、熱処理後ポリアクリルアミドにて展開する。これにより、標的配列特異的なアルキル化の有無を判定する。2、FGFR2-BICC1発現ベクターを導入したICC株の樹立を試行し、抗腫瘍効果をin vitro、in vivoで検討する。
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