研究課題/領域番号 |
16K10584
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
山本 君代 (中村) 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70611078)
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研究分担者 |
波江野 洋 九州大学, 理学研究院, 助教 (70706754)
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝再生モデル |
研究実績の概要 |
当研究では、肝切除後の肝再生動態を示す数理モデルを構築し、肝再生見込みの少ない症例の選出を行うことを目標とする。まず、肝切除術を施行された200症例において、三次元画像解析ワークステーション(SYNAPSE VINCENT, Fujifilm, Inc, Tokyo, Japan)を用いて腹部CT画像上の肝体積を測定した。また同時に、一般的に数理学研究にて用いられる指数増殖的に肝体積が増加するモデルではなく、上限容量を設けるロジスティック方程式を基盤に発展した拡張型ロジスティックモデルを構築した。当モデルにより、各症例の肝体積の経時的変化を表す際に、肝臓が術前体積以上に増加する事はなく肝体積の恒常性を表現できるようになる。また、更に下限容量も加えることにより肝切除後に肝縮小する症例の肝体積の経時的変化も考慮出来るように工夫をした。こちらのモデルを基に、混合効果モデルを用いて肝再生速度の推定を各症例にて行った。その推定値を基に、モデル近似式による肝再生の予測を各症例にて行った。各症例での肝再生予測は上手く臨床データと合致することを確認できた。当モデルの再現性を確認するために、cross validationを行い予測精度の高さを確認している。また当研究を進める為に、予定していた、Harvard大学のFranziska Michor博士や、Southampton大学のBen MacArthur博士へも意見を求めており、有効な議論を展開出来ている。MD Anderson Cancer centerのJoseph Herman医師、Johns Hopkins UniversityのLauren Rosatti医師からも実際に病院訪問を複数回繰り返し、feedbackを得ている。また、当研究の第一報としての研究成果も論文として出版することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展している。その理由として、まず(i)三次元画像解析ワークステーション(SYNAPSE VINCENT, Fujifilm, Inc, Tokyo, Japan)を用いて200症例の腹部CT画像上の肝体積を測定出来たこと、(ii)biologicalに妥当な数理モデルを構築できたこと、(iii)そちらのモデルを基に臨床データを再現することが出来たこと、(iv)cross validationを行い、再現性の高さを実証できつつあること、である。 また予定していた、Harvard大学のFranziska Michor博士や、Southampton大学のBen MacArthur博士へも意見を求めることができた。特にFranziska Michor博士においては実際に研究室へ滞在することにより大きなfeedbackを得ることが出来ている。また、マサチューセッツ総合病院のNakamura医師からはモデルを更に3次元へ拡張させる手法についても教授頂きつつある。MD Anderson Cancer centerのJoseph Herman医師、Johns Hopkins UniversityのLauren Rosatti医師からも実際に病院訪問を複数回繰り返し、feedbackを得ている。 最後に、当研究内容にそった論文の第一報を出版することが出来たので、今年度の目標は良く達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当研究において構築した数理モデルを更に別のコホートの肝再生動態を再現することが出来るかどうかを調べるために、独立コホートを収集する。そちらの経時的データを正しく予測できるかを調べる。 同時にHarvard大学のFranziska Michor博士や、Southampton大学のBen MacArthur博士、マサチューセッツ総合病院のNakamura医師、Uta大学のTsuha医師、MD Anderson Cancer centerのJoseph Herman医師、Johns Hopkins UniversityのLauren Rosatti医師を訪問し、各々専門領域からのfeedbackを得ることを予定している。 当研究を更に発展させて2次元の肝再生モデルのみならず3Dシミュレーションも用いた動態の再生を試みることも検討している。最終的に可能な限り多くのコホートを実証出来るモデルへと昇華させ、論文受理をめざしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を予定していた出張があり実際に出張も行ったのだが、研究代表者の本所属施設(科研費の申請施設以外である)を基点としてはある条件を満たさない限り科研費から支出できないことが分かり、その当該出張のために支出をすることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、次年度使用額が生じた理由を鑑みて、研究代表者の本所属施設(科研費の申請施設以外である)を基点としても支出可能な出張に利用して行く。
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