研究課題/領域番号 |
16K10586
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 洋市 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00404070)
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研究分担者 |
井嶋 博之 九州大学, 工学研究院, 教授 (10274515)
辻田 英司 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター臨床研究部, 外科医長 (20389414)
相島 慎一 佐賀大学, 医学部, 教授 (70346774)
白木川 奈菜 九州大学, 工学研究院, 助教 (90724386) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミニチュアヒト肝臓 / 脱細胞鋳型肝臓 / ヒト初代培養肝細胞 |
研究実績の概要 |
ラット・マウス摘出肝右葉に緩衝液であるTriton Xを門脈から還流する事で、精緻な脈管構造を維持した脱細胞鋳型肝臓の安定した作成が可能となった。また、ミニチュアヒト肝臓のex vivo長期還流培養を可能にするために、新しく人工肺装置を回路に組み込み、最大2日間のex vivo還流培養を可能とした。この循環回路にキーエンスを組み込み、GFPやRFPをコードしたplasmidを導入してマーキングしたヒト肝癌細胞株(Hep 3B)を可視できるシステムを構築した。 倫理委員会の承認のもと、患者からインフォームド・コンセントを得て、ウイルス肝炎や肝硬変合併のない肝切除症例の切除標本非癌部より、コラーゲナーゼ還流法を用いて生存率80%と高いviabilityを維持したヒト初代培養肝細胞を得るプロトコールを確立した。マウス右葉脱細胞鋳型にヒト初代培養肝細胞を懸濁したコラーゲンゾルを注入して再細胞化し、培地循環培養(3時間)をして、ミニチュアヒト肝臓を創成した。このミニチュアヒト肝臓は3.5 pg/cell/dayのアルブミン産生能を有していた。優れた肝構築を得るための播種ルートを検討した所、肝動脈より初代培養肝細胞を注入する方法により、類洞に類似した肝構築を得る事を見出した。 細胞量の確保のために、ヒト初代培養肝細胞の不死化を試みている。初代培養肝細胞にレンチウイルスを用いてSV40 T antigen、E6/E7&hTERTなどの遺伝子を導入して不死化させる事に成功した。In vitroでは増殖しないヒト初代培養肝細胞に増殖能を供与する事ができたが、G6Pやα1ATなどの肝特異遺伝子の発現が初代培養肝細胞に比して1/10に低下しており、肝特異機能を喪失して可能性が高いと考えられた。一方で、ヒト臍帯血由来のiPS細胞より分化誘導した肝細胞を得る事に成功した.現在、その詳細な機能解析をすすめている。
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