研究課題
Glucose transporter 1: Glut1は、細胞膜上に存在して、能動的輸送によってグルコースの取り込みを行う。Glut1は正常上皮細胞では通常発現していないが、多くの上皮系悪性腫瘍において発現が上昇しており、前述の悪性腫瘍特有の代謝に重要な意義を持つと思われる(Carvalho, Clinics 2011)。我々は膵臓癌においてGlut1の発現と臨床病理学的因子および生命予後との関わりについての解析を行っている。通常型膵癌(浸潤性膵管癌)に対して膵切除手術をおこなった137例について、Glut1の発現を免疫染色で解析した。Glut1の発現はPET-CTの早期相、遅延相おけるSUV max値と有意に相関した。SUVmax値は、無再発生存期間(P=0.0081)、全生存期間(P=0.017)における独立した生命予後不良因子であった。また膵癌非切除症例のGlut1の発現についても解析を進めている。我々は診断などを目的に切除した膵癌の遠隔転移の切除サンプルを8例保有している(肝4例、皮膚筋肉転移2例など)(Hashimoto D, Asian J Endoscopic Surg 2015)。このような膵癌遠隔転移を解析対象とし、SUV max値、Glut 1の発現についてもデータベース化し、臨床病理学的因子、治療内容(抗腫瘍薬)、生命予後との相関を解析する。さらに膵癌細胞株のGlut1の発現をsiRNAにより抑制することで、既存の膵癌に有効な抗癌剤に対する感受性が変化ことを確認する。膵癌モデルマウスを用いて、Glut1の発現を阻害することで腫瘍サイズ、転移巣の出現、マウスの生存率が変化すること、並びに安全性を検証する。また膵癌治療のkey drugである抗癌剤5-FU、S-1、ゲムシタビンとの併用投与の効果と安全性を検証し、臨床応用を目指す。
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