研究課題/領域番号 |
16K10605
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
志村 龍男 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00282393)
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研究分担者 |
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | galectin-3 / 胆道癌 |
研究実績の概要 |
今年度はin vitro実験を進めていく予定であったが、細胞株におけるgalectin-3発現調節がうまくゆかず進めることができなかった。そこで、in vitro実験系の再検討を行うとともに、臨床検体における検討として、血液中のgalectin-3とsoluble intercellular adhesion molecule-1やvascular endothelial growth factorといった血管新生因子ならびに臨床病理学的因子との関係を検討するとともに、肝胆膵癌における予後因子としての有用性を検討した。 肝胆膵癌において血液中のgalectin-3濃度をはじめsoluble intercellular adhesion molecule-1 (sICAM-1)、vascular endothelial growth factor(VEGF)、などの血管新生因子および臨床病理学的因子との関連を検討した。胆管癌、膵癌において血液中galectin-3濃度が高値(10.2 ng/ml以上)群では有意に予後不良であり、Cox比例ハザードモデルでは独立予後因子であった。膵癌においても血液中galectin-3が高値である軍は予後不良で同じく独立予後因子であった。一方、肝外胆管癌25人における検討では、血中Interleukin-6高値(11.6ng/ml以上)群と血中sICAM-1高値(322.6 ng/ml)群で予後不良でありどちらもCox比例ハザードモデルで独立予後因子であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
購入した胆管細胞株におけるgalectin-3発現状態の改変に困難があり再度細胞株の選定を行っている状況である。その間に臨床検体における血液中galectin-3濃度と諸種血管新生因子、臨床病理学的因子との検討を行った。予備段階としてbeta-cateninの発現制御とgalectin-3の核内移行とに関連があることが解明されつつあり、これらの結果から2018年度に向けてin vitroの実験系を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は予定していた胆管がん細胞株におけるin vitroの実験を進める予定である。その予備段階としてbeta-cateninの発現制御とgalectin-3の核内移行とに関連があることが解明されつつある。galectin-3、beta-cateninおよびWnt系のGSK-3betaなどの抑制系を用いて核内移行機序の解明を進めるとともに、PD-L1、PD-1といった免疫チェックポイント経書因子との関連を検討し今後研究の方向性を見出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は細胞株使用によるin vitroの実験を行うことができなかったため、昨年までに実施した臨床検体から得たデータを予後などの臨床病理学的因子と検討して予後因子の策定を行った。よって本年度使用予定分は次年度に繰り越して実験を行うこととした。
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