研究課題/領域番号 |
16K10608
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
勝田 将裕 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50464673)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30398458)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90549734)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | XCL1 / XCR1 / ペプチドワクチン / ドラッグデリバリー / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
ケモカイン受容体XCR1を発現する樹状細胞サブセットXCR1+DCが、強力なCTL誘導活性を示すことが明らかになった。本研究では、この樹状細胞サブセットに抗原を選択的に送達し、強力な抗腫瘍効果が誘導される新しいタイプのがんペプチドワクチン療法を開発、確立することを目的とする。 マウスXCL1(mXCL1)クローニングベクターを用いて、XCL1の配列に続いて、MHC classⅠ peptideであるOVA257-264ペプチドとFLAG tagの配列を含むオリゴDNAを設計し、「XCL1-OVA peptide-FLAG」の配列をもつplasmid DNAを293T細胞にtransfectionした後にFLAG抗体を用いて精製することで、マウスXCL1と卵白アルブミン(OVA)由来の抗原ペプチド(OT-I)を融合させたXCL1-OVAペプチド連結ワクチン(mXCL1-OT-I)を作成した。これまでに、このmXCL1-OT-Iが、従来のペプチドワクチンやタンパクワクチンと比べて強力に抗原特異的CTLを誘導し著明な腫瘍縮小効果を認めることを明らかにした。 昨年度は、mXCL1-OT-Iによる抗腫瘍効果の分子基盤の解明に取り組んだ。XCR1+ DCを欠失する遺伝子改変マウスとして、XCR1の遺伝子座にジフテリア毒素受容体(DTR)と蛍光タンパクvenusの融合タンパクをコードする遺伝子をノックインしたマウス(XCR1-DTRvenusマウス)を使用した。このマウスでは、ジフテリア毒素の投与後一過性に(1-7日間)XCR1+ DCが欠失する。以上の遺伝子改変マウス皮下腫瘍モデルにおけるmXCL1-OT-Iの腫瘍縮小効果がワイルドタイプと比べて完全にキャンセルされたことから、mXCL1-OT-Iの抗腫瘍効果はXCR1+DCに依存していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験は進捗しており、研究成果も得られているため、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、mXCL1-OT-IがXCR1+ DCへ選択的に送達されているかどうかを、蛍光ラベルしたmXCL1-OT-I 投与後にmXCL1-OT-Iを取り込んだ細胞を免疫組織染色、FACSなどで同定することにより明らかにする。また、mXCL1-OT-I は、XCR1+ DCに送達されるばかりでなく、XCR1を介したシグナルにより、XCR1+ DCの抗腫瘍活性を増強させている可能性も考えられる。この可能性を検証するために、mXCL1-OT-I投与後にXCR1+ DCを単離し、遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイで解析する。特に、免疫チェックポイント分子に焦点を当て、適宜タンパク発現の変化についてもFACSにて解析する。XCR1+ DCの単離には、XCR1+DCに選択的に蛍光タンパクを発現させたマウス(XCR1-venusマウス、venusの発現はXCR1-DTRvenusマウスより10倍以上強い、Yamazaki et al. J Immunol 2013)を使用する。また、XCR1シグナルへの依存性を確認するため、野生型マウスとXCR1欠損マウスを比較解析する。
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