研究実績の概要 |
慶應義塾大学病院でR0, R1切除を行った49例の肝内胆管癌(細胆管細部癌、混合型肝癌を除く)において、腫瘍境界が十分に観察し評価できる代表切片を病理専門医と選出し、作成した未染スライドを使用してγ-Synuclein(SNCG, 1H10D2, Mouse monoclonal antibody, Santa-Cruz Biotechnology)の免疫染色を施行した。腫瘍細胞に対する陽性率が10%以上の場合を陽性と判定したところ、術後検体49例中11例(22.4%)に発現を認めた。発現群と非発現群を比較したところ(χ2乗検定)と明らかな肉眼的な分類、リンパ節転移、分化度、腫瘍径、脈管侵襲、神経浸潤などの病理学的因子とは明らかな有意差を認めなかった。一方、予後解析を在院死、他病死を除いた45例で施行したところ、3年全生存率(38.9% vs 53.0%, P=0.09), 3年無再発生存率(11.1% vs 30.1%, P=0.04)と有意に再発率が高いことがわかった。 また、慶應義塾大学病院医学部 病理学教室が保有する胆道癌細胞株17種のセルブロックより作成した未染スライドを同様に免疫染色を施行すると17種中5種(29.4%)に発現を認めた。現在同細胞株から採取したmRNAをマイクロアレイにて網羅的に解析を行っており、mRNAと蛋白レベルでの発現に相関があるかどうかについて現在検討中である。
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