研究実績の概要 |
2001年から2016年において慶應義塾大学病院にて根治的に切除した肝内胆管癌(51例)、肝外胆管癌(98例)計149例の検体の病理検体を病理専門医とともにレビューし、代表切片を決定し未染スライドを作成した。免疫染色によりSNCG(1H10D2; Santacruz Biotechnology)の発現を調査し、臨床病理学的因子と予後の関連を調査したところ、SNCGの発現は32例(21%)に認めた。SNCG陽性群はSNCG陰性群よりも低分化であることと関連していることがわかった。それらは肝内胆管癌、肝外胆管癌に層別化を行っても同様の結果であった。さらにSNCG陽性例は非常に予後不良であり, 多変量解析においても強力な予後規定因子として同定された。
さらに胆管癌細胞株17種類を用いて、免疫染色およびquantitative RT-PCRにより発現株を同定し、強発現株をsiRNAを用いてノックダウンし、細胞遊走能、細胞増殖とSNCGの関連を調べたところ細胞増殖試験ではNCC-CC6-1で細胞増殖が抑制されたが、残りの2細胞では有意差を認めなかった。細胞遊走能をWound healing assayで調べたところNCC-BD1、NCC-CC6-1において遊走能がsiRNAにより抑制されることがわかった。
以上のことからSNCGは新規の予後予測バイオマーカーとしての意義を見出せただけでなく、胆道癌における増殖、浸潤に関わる分子であることが同定され、今後の治療ターゲットとしての可能性が示唆された。
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