研究課題/領域番号 |
16K10615
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
朝隈 光弘 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40559390)
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研究分担者 |
赤尾 幸博 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 教授 (00222505)
廣川 文鋭 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20322373)
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | microRNA / PTBP1 / ワーバーグ効果 |
研究実績の概要 |
膵がん手術サンプルから癌部、非癌部の検体を採取し蛋白を抽出した。Western blotting 法(WB法)を用いて、PKM2、PTBP1、KRASの蛋白発現を解析した。多くの症例でPTBP1、PKM2、KRASの発現が亢進していることを確認した。更に免疫組織学的染色にてPTBP1、PKM2の発現を解析した。PTBP1はスプライサー遺伝子であり、非癌部に比して癌部の核において特に発現が亢進していた。PKM2は主に癌部の細胞質で発現が亢進していること見出した。 更に、PTBP1をsiRNAによりサイレンシングし細胞増殖に与える影響を確認した。PANC1、MiaPaCa2、BxPC3など数種の膵がん細胞株にsiR-PTBP1を導入し、PTBP1のGene Silencing に成功した。全ての細胞株で、細胞増殖抑制効果を認めた。またこれまで他の癌種で認めていたのと同様に、PKMアイソフォームの発現が癌で優位なPKM2からPKM1へと移行していることが確認された。更にオートファジーのマーカーである、LC3の発現が、LC3IからLC3IIへ移行していた。PTBP1のサイレンシングによりPKMアイソフォームの移行が生じ、短期間での急激な代謝経路の変化により一部オートファジーを誘導する可能性が示唆された。 現在、PTBP1の発現が上昇する機構をmicroRNA(miRNA)の観点から解析している。具体的なmiRNAの選定はこれまでPTBP1の発現を調節することが明らかとなっていた、miR-124, -133bに焦点を当て、研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵がんの手術症例数が律速の要因である。 進行がんに関しては、術前の放射線化学療法を実施するため手術サンプルが採取しにくいことが挙げられる。 またIPMNなどの嚢胞性疾患からは、検体の採取が困難であることが改めて明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
先ずは、疾患の焦点を膵がんに絞って深く追及する。 手術検体の収集が困難な際は、細胞株での実験を中心に施行していく。 IPMNやIPMCに関しては疾患の主病態である粘液中の遺伝子産物にも着目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進行が計画と比して少し遅れているため今年度及び次年度に研究費の投入が予想されるため。また、PTBP1の調節機構をmicroRNAの観点からも解析していくため本年度を中心に試薬の投入が必要になると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は細胞株の実験を中心に遂行していく。更にPTBP1の発現制御機構を明らかにしていく。ワーバーグ効果関連遺伝子と膵がん発がん遺伝子(KRASなど)との関連にも着目し、より深く病態を明らかにしていく。
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