研究課題/領域番号 |
16K10627
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松浦 良平 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10768922)
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研究分担者 |
増田 茂夫 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10396749)
斎藤 俊輔 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30600126)
福嶌 五月 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80596867) [辞退]
秦 広樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80638198)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イメージング / 心臓 / in vivo / 虚血再灌流障害 |
研究実績の概要 |
近年、モデル動物が生きたまま、その組織を細胞分子レベルで評価できる二光子顕微鏡によるin vivoイメージングが研究されている。生体深部での細胞の「動き」を、「本来の姿」で観察することが可能となり、生きたままの状態で観察できるので、薬効評価の強力なツールとしても用いられるようになった。 しかしながら、心臓は“動く”臓器であり、生きたままの状態で心筋内の細胞動態を観察することは不可能とされており、生きたまま拍動する心臓に対するin vivo 細胞動態イメージング技術は確立されていなかった。そのためこれまでの基礎研究においては、その病態をモデル動物の摘出心臓や培養心筋細胞を用いて、間接的に検証し創薬スクリーニングなどが行われてきた。 一方、心疾患において虚血再灌流障害は最も一般的かつ重要な病態である。心筋の虚血再灌流は秒単位で変化することが知られており、その結果、臨床的に有効とされる薬物は現時点では開発されていない。 このような状況の中、本研究では、心臓を動かしながらその冠動脈を吻合する心臓外科手術手技を応用して、独自のスタビライザー(特許出願済、特願2016-219650)を開発し、左室心筋を局所的に固定することで、心筋のin vivoイメージングを行うことに成功し、さらに、虚血と再灌流をReal-timeに描出できる方法を、世界で先駆けて開発した。さらに、取得した動画のmotion artifactを除き細胞一つ一つの動きを解析する手法を確立した(特許出願済、特願2016-219618)。これにより虚血障害を受けた心筋細胞の可視化や、動態の定量化を行ない、虚血再灌流障害により、心筋細胞の透過性の亢進や血球の凝集による微小血管の血流障害を捉えることができた。 2016年11月AHA、2017年日本再生医療学会(優秀演題賞)を行った。現在は論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在論文投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後新たなCa indicatorを用いたラット心筋のCa imaging、圧負荷モデルマウスや、VEGR1,2標識マウス・Fucciマウス等の心筋組織の観察に加え、大血管病変へのイメージングや現在課題となっている、心筋に分化したiPS細胞の腫瘍化のイメージングを検討しており、更なる病態解明への知見等が得られると期待している。また「本来の姿」に近く、in vivoで細胞・組織レベルでreal-time での心臓に対する創薬スクリーニング評価等への応用を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
トランスジェニックマウスの導入に際し、繁殖に時間を要し次年度に導入が遅れたため。また虚血再灌流装置の作成が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
トランスジェニックマウスはすでに繁殖したため、早急に導入を予定している。また虚血再灌流装置も今夏にも導入を予定している。
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