研究課題
<研究方法>SDラット左前下行枝を30分間虚血にし、その後解放することで心筋虚血再灌流障害モデルを作成する。虚血再灌流と同時に尾静脈よりOXM-NP製剤の静注を行った。Gdを内包したNPを用いて心臓MRIにて心筋虚血部位、非虚血部位における局所特異的集積性を証明し、同時に心筋及び血漿中の薬剤濃度を検証し薬剤の経時的な心筋組織、特に虚血心筋への移行を証明し、その半減期の延長を検証する。同様に蛍光物質で標識したOXM-NPを用いて蛍光顕微鏡で定量的に証明する。分子生物学的検査にて血管新生性及び抗炎症性サイトカインの遺伝子発現を、組織学的検討にて血管新生効果、抗炎症効果を証明する。アンモニアPET検査を用いて心筋血流量の増加を定量的に証明する。<結果>OXM-NP投与ではOXM単独投与と比較し、投与24時間後の血漿中OXM濃度が有意に高く、心筋では特に虚血部位において有意に高い濃度であった。OXM-NPの半減期は、血漿中で13.2時間、虚血心筋では23.8時間、非虚血心筋では20.5時間であった。Gd内包NP投与24時間後の心臓MRIにおいて、虚血心筋特に心内外膜層への特異的集積性を認めた。蛍光物質で標識したOXM-NPの検討では、投与24時間後において虚血部位では非虚血部位と比較して約11倍のOXM-NPの集積を認めた。分子生物学的検査では、OXM-NP投与群において血管新生性サイトカイン発現の増加(VEGF、Ang-1)、抗炎症性サイトカイン発現の低下(IL-1b、IL-6、TNF-a)を認めた。組織学的検討では、OXM-NP投与群において血管内皮細胞数が保持され、多角白血球の集積低下、虚血部位における心筋肥大の抑制、そして梗塞巣の縮小を認めた。アンモニアPET検査では、OXM-NP投与24時間後においてOXM-NPを投与した群では虚血周辺領域の血流の増加を認めた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Jounal of American College of Cardiology Basic to Translational Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中