研究課題/領域番号 |
16K10629
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大嶋 義博 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (10332660)
|
研究分担者 |
星野 真人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (30508461)
南沢 享 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40257332)
築部 卓郎 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (50304100)
松久 弘典 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20456370)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 動脈管 / 大動脈縮窄 / プロスタンディン |
研究実績の概要 |
位相差X線CT装置を用いた動脈管組織の三次元的微細構造解析を行い、位相差CT画像がEVG染色による病理学的評価と同等の精度で三次元的に動脈管組織の進展を描出できることを明らかにした(Iwaki, J Thorac Cardiovasc Surg 2016;152:1454-6.)。加えて、動脈管に特異的な免疫染色(EP4,TFAp2β)により明らかとなった動脈管組織の進展と位相差CT画像から予測される同組織の進展はほぼ一致する事が判明した。これにより、位相差CTによる動脈管組織の正確な広がりの同定が可能であることが証明された。同結果により、動脈管組織の正確な進展を3D mappingすることが可能であり、大動脈縮窄症手術の際の切除範囲の決定に有意義な結果となった。又、動脈管作動薬長期投与による動脈管組織の構造変化の解析では、同疾患群(左心低形成症候群)でのプロスタグランディン(PGE)製剤の投与期間と位相差CT所見における動脈管中膜のdensityが正の相関を示し,加えて、中膜のdensityと動脈管中膜の弾性線維の量との間に正の相関が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プロスタグランディン長期投与による動脈管組織の構造的変化は、従来の実験報告とは異なった結果が得られた。プロスタグランディン(PGE)製剤の投与期間と位相差CT所見における動脈管中膜のdensityが正の相関を示し,加えて、中膜のdensityと動脈管中膜の弾性線維の量との間に正の相関が示された。この結果は、PGE製剤が動脈管に与える影響の新知見であり、今後のPGE製剤の使用法の変更,適正化に寄与する可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の課題は、動脈管組織の3次元的mappingを病態の重症度別に検討,パターン化し手術手技に還元する必要がある。又、PGE製剤による動脈管組織の構造変化の解析においては、疾患別の相違点を解明することで,各疾患における適当なPGE製剤の使用法を提案できる可能性がある。しかしながら、現在までの検討ではこれらの課題を解明するにあたり,症例数が不足しているため,更なる症例数の蓄積が必要である。
|