研究課題
大動脈弁狭窄症症例のうち、経大腿動脈アプローチTAVI (TF-TAVI)と胸骨正中切開の大動脈置換術(SAVR)を施行した症例を対象に血中サイトカイン濃度を網羅的に計測し、TAVI治療の低侵襲性を分子レベルで解析した。2009年1月~2018年12月までに大動脈弁狭窄症の診断で手術を行った80歳以上の高齢者230人をSAVR群(n=128)とTF-TAVI群(n=102)に分類し、治療成績と周術期血液データを比較した。長期人工呼吸器管理(>48時間)はTF-TAVI群で減少(13% vs. 0%, p<0.001)していた。両群とも術後0-48時間後の白血球数増加と血小板数減少を認めたが、TF-TAVI群の方が同変化は緩徐であった。70歳以上のSAVR群(n=11)とTF-TAVI群(n=12)を対象に、サイトカイン濃度の計測実験を実施した。術前血液データと治療成績に差はなかった。術前値でnormalizationした結果、術直後・24時間後の両方もしくはどちらかで、32%にあたる23サイトカインが発現格差(fold change>1.7かつp<0.05)を認めた。発現変動パターンから以下3群に分類した:Cluster A 術直後SAVR群で発現増加するが、24時間後に両群とも発現低下(CCL2・他3)・Cluster B 術直後・24時間後、SAVR群で発現増加するが、TF-TAVR群で発現増加は緩徐(IL-1Ra・IL-6・他7)・Cluster Cその他(IL-5・他9)。 pathway解析の結果、cellular response to TNF (p=0.0035), cellular response to IL-1 (p=0.0062) などの炎症経路が、SAVRと比較しTF-TAVIで発現変動することが明らかになった。
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American Journal of Cardiology
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10.1016/j.amjcard.2020.04.037