位相差イメージングによる心臓刺激伝導系形態解析研究実績: BL20B2の位相差X線CTを用いた心大血管微小構造解析グループの小児心臓外科医からなる研究チームにて、これまで剖検心標本36例に対し刺激伝導系の解析を行い、各種心疾患標本全例において房室刺激伝導路の3D可視化が可能であった。平成30年度においては無脾症における刺激伝導系の非破壊的画像による形態解析を行った。 背景 Andersonらによる病理学的検索から無脾症における房室間刺激伝導系の重要な規定因子としては心室topologyとAV connectionとされているが空間的理解を含め不明な点が多い。そこでわれわれは13例の非手術症例の無脾症剖検心(ホルマリン固定、標本サイズ3-4.5x4-6cm。診断名は房室結合:全例common inlet、Topology:Rt hand 7/Lt hand 6、肺動脈閉鎖8、DORV8。位相差CT(生食浸透、原画像解像度25μm/voxel)法にて得られたwhole heart標本CT画像にてCT値により特定される低組織密度の房室間刺激伝導系を連続追跡により同定、解析した。この結果 全例において刺激伝導系を低濃度域として特定可能であり、sling形成するdual bundleを4例に認めたほか、痕跡的~途絶を含む種々のbundle、nodeの異常を認め、これらを立体画像に再構築したので供覧し、indeterminant ventrucle症例 、topologyとの関連、心房中隔と心室中隔のalignmentなど心内形態との関連を証明した。 結論:位相差CT画像は非破壊画像のため立体的再構築が容易なうえ、撮影後も実際の標本と照合してさらなる詳細な理解も可能であり無脾症をはじめ多くの先天性心疾患の刺激伝導系に対して有用な方法であった。
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