研究課題/領域番号 |
16K10640
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
川島 友和 東邦大学, 医学部, 准教授 (00328402)
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研究分担者 |
妹尾 淳史 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (00299992)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心臓 / 刺激伝導系 / 房室結節動脈 / 画像解剖学 / 外科解剖学 / 比較解剖学 / CT画像解析 / 3Dスキャナー |
研究実績の概要 |
昨年度の研究実施計画は、刺激伝導系の臨床解剖学的データ収集と比較解剖学的解析を重点的に行うことであった。刺激伝導系の臨床解剖学的データ収集においては、刺激伝導系の独自マクロ剖出技術を利用して、その動脈系の普遍的特徴や多様性に関するデータ収集を行い、その成果の一部を学会にて報告した(2017年2月、東邦医学会)。また、刺激伝導系の3次元構造解析のための画像撮像トライアルを研究分担者である首都大学東京放射線学科の妹尾らと行い、様々な特殊撮影法を試行し、最良の撮像条件の追求を継続的に行なった。改良はさらに必要なものの、良好な結果を得ている。そのうちの数例においては組織学的検証や3Dスキャナーを使用した詳細な計測データを反映したヒト刺激伝導系の3次元データ構築なども行なった。問題点としては、近年のヒト献体由来の材料の中には動脈硬化による弁周囲構造の石灰化病変を有するものが多く、適した試料を得にくいことであった。また、3次元画像構築において、現在使用している画像解析ソフトのみでは困難な部分も多く、他の画像解析ソフトの使用を検討しなければならないことが考えられた。 実験動物と人体の形態学的相違点を補うための比較解剖学的解析としては、多様な齧歯類の心臓周囲構造の解析を行い、多様性を示すデータを取得した。解析の一部は米国のSmithsonian Institutionにて行い、同時にCT特殊撮像の方法のトライアルや様々な被写体の3Dスキャナーの使用法や活用法なども現地の専門家より学習した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析手法や協力体制など特に大きな問題はなく、順調に研究は進行している。しかし、昨年度と今年度は、学内の大幅なカルキュラムの変更があり、担当講義や実習の大幅な負担増となり、研究に充てる時間の確保が困難であった。適切なスケジューリングと作業の効率化を行い、この問題点に対処する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
特筆すべき解析方法に関する改良点などはない。今年度も昨年度と同様に、刺激伝導系とその多様な動脈枝の解剖学的特徴に関して医療用CTとMRI、産業用マイクロCT、3Dスキャナーを用いてデータ解析と収集を精力的に行い、解析データのサイプルサイズの拡大を行うことのみである。最終的な目的である心筋内に潜む刺激伝導系の3次元シミュレーション画像構築に向けて、解析データ収集における撮像法のマイナーチェンジを繰り返し行なっていくことで、正確かつ詳細な画像が得られるための解析条件の最適化が可能となると考えられる。適当な人体試料が少ないという問題点に対する対処は、現在のところ解析データ数を増やすことで、その中から結果として正常例に近いものを選定するしかないと思われる。引き続き、比較解剖学的データ収集も継続していき、CT画像の特殊撮像法や3Dスキャナーの有効な活用法についても検討していく。 これらの解析途中において、成果の中間検討や関連領域での意義検討のため、学会報告などで議論を行い、さらなる研究の発展や改良を目指す。さらには、これまでの科研費によって推進してきた関連心臓制御構造である心臓神経系に関する外科解剖学的研究も同時に進め、論文作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
微細解剖に必須である手術用実体顕微鏡に使用する高価なキセノンランプ(12万円程度)が切れそうであったため、その購入分を残しておいた。それ以外は予定通りである。
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次年度使用額の使用計画 |
数週間前にそのキセノンランプが切れたため、今年度初旬に購入する予定である。したがって、変更はない。
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