【課題1】 心臓手術の周術期の血中バソプレッシン(AVP)及び尿中アクアポリン2(AQP2)の変動 平成28年度は、人工心肺を使用する大動脈弁置換術を施行した症例の術前、第1病日、第7病日、術1ヶ月後のAVPとAQP2の変化を検討し、AVP・AQP2のいずれも第1病日には有意に一過性上昇を示し、第7病日には減少することが認められた。 平成29年度は、同様に人工心肺を使用する大動脈弁 置換術を施行した症例の術前、第1病日、第4病日、第7病日のAVPとAQP2の変化を検討した。AVP変化は1.6±0.4, 17.3±8.1,2.2±0.3, 1.7±0.3(pg/mL)、AQP2変化は3.3±2.2,30.1±9.4,5.4±6.2,5.4±4.4(ng/mL)、いずれも第1病日には有意に一過性上昇を示 し、第4病日には減少に転じていることが認められた。また、AVPとAQP2には強い正の相関が見られた(r=0.817 p<0.0001)。 平成30年度は、人工心肺をしない開心術のAVPとAQP2の変化を検討するため、オフポンプ冠動脈バイパス術の症例を対象としたデータ収集を実施した。 周術期のAVP変化は1.2±0.6,15.5±17.1,1.3±0.4,1.1±0.5(pg/mL)で,AQP2変化は6.7±9.9,16.5±14.7,14.1±9.5,5.3±3.2(ng/mL)であった(それぞれ術前,第1病日,第4病日,第7病日).また,術前のAVPとAQP2に正の相関(r=0.765,p=0.0766)の傾向が見られた. 【課題2】心筋保護液による効果にAQP7欠損が与える影響 平成30年度は、Wild-typeとAQP7-Knockoutのマウスの摘出心を用いたランゲンドルフ灌流実験を行い、25分虚血に対しAQP7欠損状態でも高K心筋保護液の効果に差は生じなかった。
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