研究課題/領域番号 |
16K10649
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高地 崇 東北大学, 大学病院, 助教 (60770188)
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研究分担者 |
今井 啓道 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80323012)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 末梢動脈外科学 / 血管新生療法 |
研究実績の概要 |
高齢化に伴い、閉塞性動脈硬化症等などによる末梢動脈疾患 (PAD)の患者は増加の一途をたどっている。特に壊疽や潰瘍などを合併する重症下肢虚血(CLI)に対しては血行再建術が原則とされているが、手術不能例や再閉塞例も多く、本邦だけでも年間3000人以上が下肢切断を余儀なくされている。 本研究は、慢性下肢虚血性疾患に対する非侵襲的な新しい治療法としての、マイクロバブルと超音波による血管新生療法の開発と、実験に用いる動物モデルおよび実験デザインの最適化、および治療導入部位選択の指針の確立に注目した。 マウス下肢骨格筋に音響性リポソームを投与したのちに超音波を照射し、血管新生効果および組織障害について病理組織学的に評価した。ここから、組織障害を生じず、且つ最大限の血管密度増加を得られる、リポソーム投与量および超音波の出力・照射時間を特定した。 また、市販のマイクロバブルと音響性リポソームとでの血管新生効果の差、および音響性リポソームを経静脈的に投与した場合と、標的部位(筋肉内)に直接投与した場合とでの効果の差についても検証を行った。次に、マウス下肢の栄養動脈(前・後殿動脈,腸骨大腿動脈・深大腿動脈など)について選択的血管造影CTを撮影し、各側副経路の局在および各血管領域の境界を明らかにし、異なる術式で作製した下肢虚血モデルに対しても選択的血管造影を行い、各側副経路の末梢循環に対する寄与度および制限部位を明らかにすることで、治療介入すべき部位を特定することが出来る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった音響性リポソームと超音波による血管新生療法の条件がほぼ最適化し、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の解析により、マウス下肢虚血モデルの標的部位に対して、AL+USによる血管新生療法を施行しさらにAL+US導入後経時的にレーザードップラー血流計による末梢血流計測をおこない、末梢循環改善度および効果持続期間及び、治療介入部位における変化について病理組織学的評価をおこなうとともに、免疫組織学的手法を用いて血管新生が誘発される機序についても検証をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初見込みより経費を節減でき、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用時額には、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成29年度請求額とあわせ、平成28年度の研究遂行に使用する予定である。
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