研究課題/領域番号 |
16K10651
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30528469)
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研究分担者 |
木村 泰三 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00636508)
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
田尻 和子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 協力研究員 (60633914)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / 好中球細胞外トラップ |
研究実績の概要 |
好中球は、好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular traps: NETs)とよばれる網目状の構造物を形成し、効率よく細菌を捕捉して分解除去することが知られている。NETsは感染防御に有効である一方、本来細胞内にあるべき成分を細胞外に放出するため、自身の組織を攻撃する、あるいはそれ自体が自然免疫系に対する内因性リガンドとして作用し、炎症を増強させている可能性が考えられる。 本研究では腹部大動脈瘤(AAA)において、好中球がAAAの病態形成に重要な役割を果たしており、AAAにおけるNETsの役割を検討した。Apo EノックアウトマウスのAAAモデルにおいてAAA病変の好中球浸潤部位にNETsを認め、AAAの病変部に集積する好中球がNETsを介して炎症反応を増悪させた。好中球にNETs産生をin vitroで誘導し、NETsの構成成分であるDNAやエラスターゼ、ヒストンがToll様受容体(TLR)を介して自然免疫を活性化することを明らかにした。DNA分解酵素を腹腔内投与するとin vivoでNETs形成が抑制されることが報告されており、DNA分解酵素によるNETs阻害によりAAAの炎症反応は抑制され、瘤径の拡大進行の抑制と生存率が改善した。 本研究遂行によりAAAの病態形成にNETsの関与が明らかにされて、NETsを標的とする新規治療法開発への基礎的研究となることが期待される。
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