研究課題/領域番号 |
16K10670
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桜田 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60360872)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺癌 / 腺癌 / KRAS / 合成致死 |
研究実績の概要 |
合成致死のスクリーニングに向けた準備を昨年度に引き続き行った。共培養の目的で、肺腺癌細胞株A549にGFP蛋白を発現するベクターを導入したが、A549親株においては良好な導入結果が得られたが、A549にp190RhoGAPを導入した方の細胞においては期待したようなGFPの発現が得られず、繰り返してみても同様の結果であった。そこで、ベクターの改良は継続することとしたが、これと平行して、合成致死の候補としてp190RhoGAPのシグナル伝達上の上流にあたると報告のあるSrcを標的の一つとした実験を行うことにした。Srcには阻害薬が存在し入手可能であるので、これをA549に作用させ、ウェスタンブロットで効果を確認した。A549をSrcの阻害薬に暴露することで、p190RhoGAPのリン酸化が抑制されることが確認され、Srcがp190RhoGAPの活性を調節していることが確認された。また、Src阻害薬の暴露濃度を段階的に変化させて、細胞増殖への影響をMTTアッセイで評価したところ、Src阻害薬は、濃度依存的にA549の増殖を抑制することが明らかになった。Src/p190RhoGAPを一つの軸と考える事が可能と判断し、1) 他の肺腺癌細胞株での効果の確認と、2) Src/p190RhoGAPと組み合わせることの出来るもう一つの分子の検索を行っていく事にした。2)については、具体的に、p190RhoGAPを安定的にノックダウンした細胞を使用し、親株あるいはベクターのみを導入したコントロールと比較し、発現状態の異なる遺伝子あるいは蛋白を解析することで、候補の分子を絞り込める可能性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画を遂行するための、遺伝子導入で期待したような発現が認められていない。
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今後の研究の推進方策 |
代替の実験案として、Src/p190RhoGAPを一つの軸として、もう一つの候補分子の検索を行う事にした。Srcについては阻害薬が存在するので、実験の標的としては結果が得やすい。また、もうひとつの候補遺伝子は、p190RhoGAPの安定的ノックアウトを行う細胞株をもちいて発現している蛋白や遺伝子を解析することで、絞り込める可能性があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞を使用するアッセイのための比較的高額な試薬を使用する必要があったが、そのための細胞の準備が間に合わなかった。他の用途にある程度使用したが、若干残額が生じた。次年度で使用予定。
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