研究課題
合成致死のスクリーニングに向け、共培養の目的で、肺腺癌細胞株A549にGFP蛋白を発現するベクターを導入したが、種々に条件を変えてもA549にp190RhoGAPとGFPが共発現するベクターでは、GFPの発現が十分にが得られず、繰り返してみても同様の結果であった。そこで、共培養による合成致死の候補分子のスクリーニングは断念することにした。これに変わる合成致死の実験候補絞り込み方法としてp190RhoGAPのシグナル伝達上の上流にあたると報告のあるSrcを標的の一つとした実験を行うことにした。昨年度、Srcには阻害薬をA549ににおいて、Src阻害薬の暴露濃度依存的なp190RhoGAPのリン酸化の抑制と細胞増殖抑制を確認していたので、本年度はK-RAS遺伝子変異を持たない2種類の肺腺癌について同様の実験を行ったところ、濃度依存的に増殖抑制は得られるもののA549に比較してその効果は小さい事が明らかなった。A549においてSrc/p190RhoGA軸を抑制した場合に代替的に働く経路をウェスタンブロットで検索することとし、p190RhoGAPを長期にノックダウンした細胞で検索を行ったところSTAS3のリン酸化が亢進することが判明した。そこでSrc阻害剤とSTAT3阻害剤の同時併用による相乗効果の有無を検証したところ、用いた肺腺癌3つのいずれでも相乗的に細胞増殖抑制効果がえら得れることが判明した。この効果はK-RAS遺伝子変異を有するA549で最も強く見られ、K-RAS遺伝子変異を持つ肺癌において治療の選択肢となる可能性を示唆する結果となった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Oncology Rep
巻: 40 ページ: 1761-1768
10.3892/or.2018.6536
Ann Thorac Surg
巻: 105 ページ: 1648-1654
10.1016/j.athoracsur.2018.01.052