研究課題
物質材料研究機構において開発された魚ゼラチンとポリエチレングリコールを用いた新規開発接着剤を用いて実験を進めている。新規開発接着剤のゼラチンの濃度およポリエチレングリコールの分子量を調整し、接着剤の硬化時間おより接着力の強化等の最適化を行った。また、製品化に向けてガンマ線および電子線滅菌を条件を変えて行い、滅菌と接着力の保持が両立することを確認した。またゼラチンの炭素長による接着力の強度も評価し、C10が最適と判断した。ブタ胸膜に対する耐圧強度をASTM-F2392-04(Standard Test Method for Burst Strength of Surgical Sealants)に従って評価した。開発品は40cmH2O超の高い耐圧強度を示した。次に、豚摘出肺にて胸膜欠損部の耐圧強度を測定し、現在臨床にて用いられているフィフリン系接着剤と比較した。次に豚摘出肺の胸膜に直径 10mmの胸膜欠損を作製し、開発品の接着剤を噴霧し人工呼吸器に接続し耐圧強度を測定した。胸膜欠損部か接着剤にて均一に被覆され、開発品は高い接着強度に加え膨張する肺表面への追従性か高く、少量の空気漏れか発生するleak pressure、接着剤か剥がれてしまう Burst pressure 共に有意に高い耐圧能力を示した。また 膨張・収縮する肺胸膜表面に良好な追従性を示した。また全身麻酔下に片肺換気し、人間の手術中をモデルとした、豚を用いた急性期試験も施行し、摘出肺と同様の耐圧強度を示すことが確認できている。 ゼラチンとポリエチレングリコールの2剤を術野にて均一に噴霧するデバイスが必要であり、細部の改良を重ねている。
2: おおむね順調に進展している
ゼラチンとポリエチレングリコールの2剤を術野にて均一に噴霧するデバイスを開発中であり、接着できる段階にきている。噴霧する粒子の径は一定となったが、2剤が同心円状に噴霧されない、どの粒子径が最適か等の問題があり、細部の改良を重ねている。
上記噴霧デバイスを改善し、ブタを用いた急性実験を行い、また慢性実験による体内での反応性および炎症・癒着等の評価を遂行する予定である。
噴霧デバイスの開発が若干遅延しており、ブタ急性実験が予定通りに遂行できなかったため。
すべて 2017
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