研究課題/領域番号 |
16K10680
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50464251)
|
研究分担者 |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
川村 知裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30528675)
奥村 明之進 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40252647)
新谷 康 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90572983)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | PD-1/PD-L1 / 癌免疫 / 非小細胞性肺癌 / 上皮間葉移行 / 抗癌剤耐性 |
研究実績の概要 |
免疫チェックポイント経路のPD-1/PD-L1は癌免疫において非常に重要な役割を担っていると考えられている。免疫細胞に発現しているPD-1と癌細胞に発現しているPD-L1が結合することにより免疫抑制状態となり、癌細胞が免疫細胞からの攻撃を回避しえるものと考えられているが、特に癌細胞におけるPD-L1の発現制御のメカ二ズムについては不明である。今回我々は癌の悪性化に関係していると考えられている上皮間葉移行(EMT;Epithelial Mesenchymal transition)と、PD-L1の発現制御について検討した。肺腺癌細胞株(A549)にEMT誘導物質であるTGF-βにて処理し、その発現をRT-PCR、Western blotにて分析してみた。その結果、TGF-β投与にてEMTマーカーである、N-cadherinとPD-L1のmRNAの上昇が確認できた。同様にタンパクレベルでも上昇を認めた。また、TGF-β阻害剤(SB431542)を投与して、それらの発現変化をみた。N-cadherinもPD-L1の上昇も抑制されていることが分かった。また、一旦TGF-β導入によるEMTにて上昇したN-cadherin、PD-L1をTGF-βを含まない培地に変更することによる反応を調べてみた。TGF-βを含まない培地で培養するとEMTとは逆の間葉上皮移行(MET)によるN-cadherinの変化と、PD-L1の発現の変化を検討してみた。その結果、一旦EMTにて上昇したN-cadherinはMET過程にて低下しPD-L1もそれに呼応するように減少し元のレベルまで減少した。一方抗がん剤投与にてもEMTが誘導される報告がある。これは抗がん剤耐性の過程でもTGF-β誘導型EMTが関与していると考えられている。次はPD-L1の発現変化も調べる予定である。抗がん剤カルボプラチンをA549細胞に投与し、上記遺伝子の発現レベルを調べるよう計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ概ね予定通りに研究は進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
癌細胞の抗がん剤耐性にもEMTが関与していると考えられていることからPD-L1の発現制御について調べる予定である。具体的にはA549に抗がん剤のカルボプラチンを投与し、EMTマーカーとPD-L1の発現変化についてmRNAレベルをRT-PCR法でタンパクレベルをwestern blotにて調べる予定である。また、臨床検体を用いて、術前導入化学療法症例で、臨床サンプルの免疫染色を行い病理組織学的にEMTマーカーとPD-L1発現の関連性を調べる予定である。その他、動物実験では、マウス皮下に癌細胞を皮下注射し、生着した上で、抗がん剤による治療を行い、残存した腫瘍細胞のEMTマーカー発現とPD-L1の発現変化について調べる予定である。
|