研究課題/領域番号 |
16K10683
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
滝沢 宏光 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90332816)
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研究分担者 |
近藤 和也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10263815)
梶浦 耕一郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (60596253) [辞退]
坪井 光弘 徳島大学, 病院, 助教 (10711872)
澤田 徹 徳島大学, 病院, 特任助教 (60522258) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺癌 / 自家蛍光 / 胸膜浸潤 / 縮小手術 |
研究実績の概要 |
2017年に肺癌取扱い規約が改訂され病理組織名に微小浸潤性腺癌等が加わり,腺癌の病期決定に浸潤径が重要視されるようになった.しかし当科で切除された,CT上すりガラス陰影を伴う肺癌を対象とした検討では,CTおよびPET/CTの定量データを用いても病理学的浸潤径を予測できなかった.術中迅速組織診断に自家蛍光顕微鏡を用いることで,腺癌の浸潤を評価できるか基礎的な検討を行った.【検討方法】2017年以降に切除した3cm以下のすりガラス陰影を伴う肺癌41病変(最終診断:上皮内腺癌(AIS)/微小浸潤性腺癌(MIA)/浸潤性腺癌(ICA):15/21/5病変)を対象とし,ホルマリン固定パラフィン包埋の脱パラフィンを行い,染色を行わずに包埋を行ったスライドガラスを用い,自家蛍光顕微鏡で観察し,弾性線維染色標本との対比で肺癌の浸潤部を特定できるか評価した.【結果】自家蛍光顕微鏡で観察すると,基底膜を構成するコラーゲンに一致した自家蛍光を視認することができた.肺癌の浸潤部分では,この基底膜の肥厚や断裂,欠損などが観察され,弾性線維染色標本で染色された部位と類似した部分が自家蛍光を発していることが確認された.自家蛍光顕微鏡で診断を行ったところ,HE染色標本との併用で正診率は83%であり,HE染色標本単独での正診率73%を上回った.【今後の研究予定】すりガラス陰影を伴う肺癌において,自家蛍光顕微鏡を用いて浸潤径を術中評価できる可能性が示唆された.現在術中迅速診断を想定した凍結切片による評価について,現在検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年の肺癌取扱い規約の改訂を受け,新第8版から病理組織名に新たに加わった微小浸潤性腺癌が本研究に大きく関与する分類であると考えられたことから,研究計画を見直し追加検討を行った.2017年以降に切除した3cm以下のすりガラス陰影を伴う肺癌41病変(最終診断:上皮内腺癌(AIS)/微小浸潤性腺癌(MIA)/浸潤性腺癌(ICA):15/21/5病変)を対象とし,病理医とともに詳細な浸潤径の評価を行った.その上でさらに病理医とともに自家蛍光顕微鏡による浸潤径評価を行った.追加検討を行ったことや,複数の医師が同時に評価を行うこととしたため,研究日程の調整等で時間を要した.また,診断精度を向上させるための自家蛍光顕微鏡のフィルターや画像取得の条件設定に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
すりガラス陰影を伴う肺癌において,自家蛍光顕微鏡を用いて浸潤径を術中評価できる可能性が示唆されたが,更なる正診率向上を目指して自家蛍光の励起波長・検出波長および画像取得の条件設定などについて検討を行う.2017年以降に切除した3cm以下のすりガラス陰影を伴う肺癌41病変(最終診断:上皮内腺癌(AIS)/微小浸潤性腺癌(MIA)/浸潤性腺癌(ICA):15/21/5病変)を対象とし,現在の蛍光顕微鏡で用いているフィルターの設定(励起・検出波長)を変更し,診断精度の向上が可能が検討する.条件設定が決まれば,術中迅速診断を想定した凍結切片による評価を行う.すなわち,迅速組織診の検体を用い,HE染色とは別に無染色のプレパラートを作成し,検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年の肺癌取扱い規約の改訂を受け,新第8版から病理組織名に新たに加わった微小浸潤性腺癌が本研究に大きく関与する分類であると考えられたことから,研究実績に記載した追加検討を行った.このため,画像解析ソフトや蛍光顕微鏡フィルターはまだ購入していないため未使用額が生じた.残額は,画像解析ソフトや蛍光顕微鏡フィルターを購入する予定である.
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