研究課題/領域番号 |
16K10685
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
川上 行奎 徳島大学, 病院, 特任講師 (00596249)
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研究分担者 |
滝沢 宏光 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90332816)
鳥羽 博明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (40403745)
吉田 光輝 徳島大学, 病院, 講師 (30403710)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胎生期肺組織 / 肺organoid / 肺再生 |
研究実績の概要 |
ラット/マウスを用いて、pluripotent embryonic stem cellsから3次元培養による肺のorganoid(細胞組織体)を作成し、この組織を用いて肺の組織修復・再生実験を行う。これまで我々は、胎生期肺組織に着目して、ラット/マウス/豚を用いて胎生期肺組織移植による肺の修復・再生の実験的検討を行い、移植した胎生期肺組織が成体肺内で生着し、増殖・分化することを明らかにしてきた。しかし、臨床応用の視点からは胎生期肺組織を得るのが難しく、そのブレークスルーが必要であると考えていた。そうしたところ、最近になりES細胞/iPS細胞から肺のorganoidを作成する技術が注目された。肺organoidは胎生期肺組織に類似した細胞構成と組織構成を模倣している。そこで今回は、肺organoidに着目して、肺organoidを利用した肺の再生・修復を試みる。本年度の目標では,マウスES細胞から肺origanoidを作成し、マウス成体肺内への移植を行い、移植肺細胞・組織の分化・生着について検討する予定と、マウスiPS細胞から肺origanoidを作成し、マウス成体肺内への移植を行い、移植肺細胞・組織の分化・生着について検討する予定であった。現時点で、マウス成体肺内への移植手技の確立のため、小動物用麻酔器、小人工呼吸器をマウスにストレスを与えない観点からも器機選定を慎重に行っており、Harvard社の人工呼吸器とUniventor社の麻酔器を選定し発注している段階である.organoidの作成に関しては、進行している論文や、他施設において肺のorganoidが進行しておらず、その作成は引き続き検討中である。ips細胞は現在、当科グループにおいて培養、継代中であり、今後の培養のための培養器のチェックや,ips細胞の保管のチェックは共同研究者とともに進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れている理由として、肺オルガノイドの作成と培養継代について、調査検討しているが、参考となる論文が少ないこと、施設見学、共同研究なども考慮しているが、進行している事項が少ないことがあげられる。マウスへの移植手技の技術的側面では、手術器具、器機の老朽化も伴い、新たに、マウスに負担をかけない麻酔器、人工呼吸器を選定したため、その搬入が遅れていることもある。ips細胞の継代は当科にて引き続き継続しており、注意して培養継代している。
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今後の研究の推進方策 |
問題点;オルガノイドの中でも肺オルガノイドは、作成と維持が困難と考える。肺には様々な細胞と足場が存在するため、これらを機能的に発揮させる様に発達させることが困難と考えてはいる。今後は、マウスの移植手技を器機の安定した使用とともに確立し、肺オルガノイドの作成に関しては多施設への見学、共同研究も視野に入れて進める。マウスES細胞からの肺オルガノイドの作成は、現在までの調査で、困難なことが予想され、こちらは変更し、ips細胞の培養と分化は腹側前腸細胞の分化までは可能であると考え、オルガノイドとしての状態までには不十分となる可能性はあるも、ips細胞からの肺オルガノイドの作成を中心に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスへの移植のための手術器具、器機の老朽化に伴い、マウスに負担をかけない麻酔器、人工呼吸器を新たに選定したため、その搬入が遅れていたことにより、翌年に持ち越すこととなった。残額は、マウス肺移植用のマイクロスコープ、小動物用麻酔器、小動物用人工呼吸器、マウス購入、試薬、麻酔薬、培養用の備品に使用予定。
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