研究課題
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が上市され広く使われている.しかし有効な症例は約20-30%と限定的であり効果予測バイオマーカーの同定が重要な課題である.腫瘍におけるPD-L1の発現はすでに実臨床で利用されている.しかしながらPD-L1陰性症例でも一定の割合で有効例が存在することも知られておりその限界も指摘されている.そこで本研究ではPD-L1のみならず腫瘍の遺伝子変異の多寡,いわゆるTumor Mutation Burden(TMB)と腫瘍の微小環境に着目しその臨床的意義と腫瘍免疫におけるメカニズムの解析を行うこととした.予定どおり約200例の肺癌組織検体から次世代シークエンサーを用いて全エキソーム解析を行いTMBのデータを抽出し,PD-L1や腫瘍浸潤リンパ球或いは各種Driver遺伝子異常等のパラメータとの関連について解析を行い,報告してきた.その結果TMBはPD-L1や腫瘍浸潤リンパ球の多寡とは直接関連せず,ICIのバイオマーカーを考慮する際にはこれらの因子を複合的に解析する必要性を提唱した(Gan To Kagaku Ryoho 2017, 44:763-66).さらにTMBの臨床的意義を明らかにするべく検討を行った結果,世界で初めてTMBの多寡が肺癌の予後と有意な関連を認めることを明らかにした(J Thorac Oncol, 2018 Aug;13(8):1217-1221).最終年度には腫瘍の微小環境でのHigh endothelial venule (HEV) の存在が有効な免疫反応の誘導において重要であることを確認し,さらにHEV陽性組織を含むTertiary Lymphoid Structureの形成が腫瘍の進展や予後に関連しTMBの多寡とも関連することを明らかにし,当該領域における全く新しい知見を確認した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
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