研究実績の概要 |
片肺全摘モデルの作製は麻酔下で気管内挿管後、第4肋間開胸し左肺門部を一塊に結紮・切離し左肺を摘出する。また、sham手術は、上記と同様に麻酔後、開胸して左肺をとらずに閉胸し作製し、代償性肺再生の評価を以下の通りに行った。 ①肺重量:片肺全摘モデル作製後、経時的に麻酔薬過剰投与後、残存右肺を摘出し、肺重量を測定(wet)。計測後、65℃,48時間オーブンで乾燥させた後、再び乾燥肺重量の測定を行った(dry)。②肺容積:摘出した残存右肺に12cmH2Oの圧力下で生理的緩衝液を注入後、それを生理的緩衝液に浸し増加した重量を測定し体積を求めた(Scherle.W: Mikroskopie. 26(1): 57-60, 1970)。③肺胞面積及び④肺胞数:残存肺をHE染色し、400倍視野で肺胞面積及び肺胞数をNIH imageソフトを用いて計算を行ったが、いずれも有意差を認めなかった。⑤肺摘出後、血中及び残存肺組織中のVEGF濃度の経時的変化:0,7,14,21,28日目に採血または肺を摘出し、ELISAキットを用いてVEGF濃度を測定し、対照群と比較し、片肺摘出したマウスは有意に、血中及び残存肺組織でのVEGF濃度の発現の増加を術後7,14,21目に認めた。⑥VEGF-A過剰発現マウス(ATg)における残存右肺重量の検討:VEGF-ATgとWT(Balb/c)を用いて片肺全摘モデル作製後、1,2,3,5,7,14,21,28日目に肺を摘出し、残存右肺重量(dry, wet)を測定し比較検討を行ったことろ、VEGF-AgはWTと比較し肺重量の増加を認めた。⑦抗VEGF中和抗体投与による残存右肺重量変化の検討:片肺全摘モデル作製後、抗VEGF中和抗体投与群、対照群において7,14日目に肺を摘出し、VEGF投与群は有意に肺重量の低下を認めた。
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