研究課題/領域番号 |
16K10694
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
薄田 勝男 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00324046)
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研究分担者 |
道合 万里子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40515673)
上田 善道 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50271375)
的場 宗孝 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90288308)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MR拡散強調画像 / PET-CT / 肺癌 / 全身性拡散強調 / 予後因子 / 治療効果 |
研究実績の概要 |
平成28年度に取り組んできた課題は以下の通りである。(a) MR拡散強調画像が、悪性腫瘍に対する化学療法・放射線療法の治療効果を評価できるかどうか不明。(b) MR拡散強調画像の病理学的診断意義および遺伝子変異との関連性が不明。(c) 肺癌例において全身性拡散強調の有効性を評価する。(d)肺癌例において拡散強調画像のADCは予後因子となるかどうかを検討する。 (a)については、2017年日本肺癌学会で発表予定となっている。【成績】化学療法を9例、化学放射線療法を6例、放射線療法を1例に行った。拡散強調画像による治療効果は、CRが1例、PRが2例、SDが1例、12例がPDであり、大きさのみでは判定できない質的評価も可能であった。 (b) については、現在論文を執筆中である。腺癌例のVEGF 発現・αSMA発現は、扁平上皮例のそれに比較し、有意に高値であった。分化度が低下するにつれ、VEGF・CD31・αSMAの発現は減少する傾向を認めた。VEGF・αSMAを強く発現する症例は、弱く発現する症例に比較し、生存率は良好な傾向を認めた。未熟血管への分化を示唆する症例は、成熟血管への分化を示唆する症例に比較し、生存率が不良な傾向を有した。 (c)については、論文が出版された。Usuda K, et al.Asian Pac J Cancer Prev. 2016;17:2393-2398. 肺癌例に対する全身性拡散強調画像の病期診断成績は、PET-CT & 頭部MRのそれに遜色がない。 (d) については、現在論文を執筆中である。PET-CTのSUVmax, MR拡散強調画像のADCは、共に肺癌の評価に有用であるが、 SUVmaxの値は、T因子・N因子・分化度等の因子と相関を認め予後を反映するのに対し、ADC値はT因子・N因子等の因子と相関はなく、予後との関連を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した4つの課題について、一つは論文として公表した。2つは現在執筆中である。残る一つも今年学会報告を予定しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は次の通りである。 (a) 現在の肺癌診療におけるMR拡散強調画像の有効な検査方法の確立。(b) 肺癌の切除後に全身拡散強調画像の有効性の評価。(c) 胸膜中皮腫を含めた胸膜病変に対するMR拡散強調画像の有効性の評価。(d) MR拡散強調画像が有効であった肺癌例の報告。(e) 胸部腫瘍に対するMR拡散強調画像の有用性とその展望について,reviewする。
(a)については、2017年日本胸部外科学会で次の演題を発表する予定。 演題名「MR拡散強調画像は、肺癌のPET偽陽性の鑑別が可能である。」
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