研究課題/領域番号 |
16K10705
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232)
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研究分担者 |
常塚 啓彰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00453100)
加藤 大志朗 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70315943)
阿部 かおり (一瀬かおり) 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80587593) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胸腺腫 / 胸腺癌 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
胸腺上皮性腫瘍である胸腺腫および胸腺癌切除パラフィン包埋標本を用いて,PD-L1発現に関する免疫染色を行った.使用した抗体は胎盤組織を用いた陽性対照を確認し,本研究に適していると思われたSP263抗体を使用した.まず,免疫染色後,顕鏡目視法にて発現レベルを腫瘍細胞陽性率(Total Proportion Score: TPS)として評価した.TPSのカットオフ値を25%とし,高発現群と低発現群に分類した. 並行して,Whole Slide Imaging解析により,客観的なデジタル評価を行った.なお,腫瘍上皮細胞を同定するためにAE1/AE3のサイトケラチンカクテル抗体を用いて,混在する非腫瘍性細胞の影響を排除した. また,WHO分類に基づいた組織学的分類を胸腺腫瘍を専門とする病理医により中央診断しなおした. これらの結果を統合し,胸腺上皮性腫瘍の組織型別に,PD-L1の発現レベルを分析し,かつ,目視法とWhole Slide Imaging解析法との結果の際について検討を行った. 結果としては,胸腺癌では腫瘍細胞のケラチン発現に個体差があったため,二つの解析法では合致しなかったが,胸腺腫では相関性を認めた.すなわち,高発現群には,WHO type B2, B3の高悪性度胸腺腫が多く,進行病期症例が多く,生存予後が不良であった. 以上の結果から,胸腺腫においては,Whole Slide Imaging解析は臨床応用可能と考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胸腺上皮性腫瘍の組織型により,PD-L1発現は有意な差を認め,悪性度が高い症例ほどPD-L1発現は強い傾向であった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,今後は,PD-L1の受容体であるPD-1発現について,小児正常胸腺,胸腺腫内に豊富に存在する分化途上の未熟なT細胞でフローサイトメトリー解析を行う予定である.胸腺腫内でのT細胞分化の程度とPD-1発現レベル,および腫瘍細胞のPD-L1発現とWHO組織分類に関して検討を行い,胸腺腫の免疫チェックポイントの病態を明らかにする.
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