研究分担者 |
岩間 亨 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20303498)
江頭 裕介 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50547677)
山内 圭太 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (10452153) [辞退]
辻本 真範 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (70509554)
澤田 重信 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40610415) [辞退]
宮居 雅文 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (60613502)
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研究実績の概要 |
アテローム血栓性脳梗塞急性期には再発予防のための早急な抗血小板療法の導入が必須であるが、抗血小板薬を投与しているにもかかわらず十分な効果が発現されない「不応症」が存在することが問題視されている。その機序を解明すべく、急性期脳梗塞患者と慢性期脳梗塞患者の2群において①抗血小板薬投与後の経時的な血小板凝集能変化と②血小板細胞内シグナル伝達に関与する因子を解析する研究をおこなった。 1)急性期脳梗塞患者と慢性期脳梗塞患者における抗血小板薬投与開始後の経時的血小板凝集能抑制効果の比較研究では、新たに抗血小板薬を投与する発症24時間以内の急性期脳梗塞患者19名、および14日以上経過した慢性期の脳梗塞患者25名における経時的な血小板凝集能値を両群で比較し、ベースライン値は両群で有意な差はなく、内服6・24 ・48時間後において急性期群で有意に亢進し、7日後以降では差が消失した。CYP2C19遺伝子多型のpoor metabolizerの比率は同等(全体の14.2%)であり、急性期脳梗塞は代謝酵素の遺伝子多型という不応症の定説を凌駕する不応症関連因子であることが明らかとなった。 2)不応症に関与する血小板細胞内情報伝達経路の解明では、血小板細胞内情報伝達においてはトロンビン刺激による38MAPK、Aktのリン酸化および血小板からリリースされるリン酸化HSP27産生量が急性期脳梗塞群で有意に亢進していた。この機序についてはトロンビン刺激による血小板において、低分子量G蛋白の一種であるRacが調節因子である可能を認めており(Uematsu K, Enomoto Y, et al. Cell Phisol Biochem, 2018;49:1523-1538)、トロンビンとHSP27は脳梗塞急性期という一時的な不応症に関与していることが示唆された。
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