研究課題
脳梗塞は日本人の死因で割合が高く、死亡しない場合でも機能障害が生じることの多い疾患である。しかしながら、有効な治療法は発症初期を対象としたもので、発症後時間が経過した後の治療法はほとんどない。従って、脳梗塞の病態進行のメカニズムを解明することが、発症後期でも効果的な治療法の開発に繋がる可能性がある。生体マウス中枢神経系内の細胞の移動を単一細胞レベルで連続的に追跡することのできる高感度MRI(磁気共鳴イメージング)技術を用いて細胞の動きや機能を捉えることができる。この技術により、数十ミクロンの高い空間分解能を実現することが可能となり、in vitroのみならずin vivoでも非侵襲的に1細胞レベルでの動態追跡が可能となった。この技術は、脳内の免疫細胞動態を捉える新しい免疫活動評価手法であり、免疫細胞と病態形成の関係性及び病態形成機序の解明につながる可能性がある。現在、我々は脳梗塞発症後期に梗塞巣へ出現してくる骨髄由来マクロファージ/マイクログリアの遊走・浸潤メカニズムを生個体で観察出来るよう試みている。また、病巣部に出現後の細胞動態についても全く不明であるため、生個体で観察する必要がある。本研究から、骨髄由来マクロファージ/マイクログリア細胞と病態形成の関係性及び病態形成機序の解明につながる可能性がある。
3: やや遅れている
モデル動物として当初予定していたラットでは細胞動態を捉えることができなかったため、マウスを用いることにした。そのため、研究環境の確立、技術の習得に時間がかかってしまった。次年度は、当初の計画以上に推進する。
今年度は当初の計画で予定していたin vivo実験の確立に時間を要した。今年度は脳内の細胞動態をより高い空間分解能・時間分解能による撮像を実現することが出来るよう改善を図る。
当初の予定より研究計画に遅延が生じたため。
マウス用実験器具を購入予定。
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