SDラットを用いて開頭を行い脳表にdirect currency (DC)電極(皮質電位測定)、レーザードップラープローベ(脳血流測定)、頭蓋内圧センサー(脳圧測定)、骨表に脳波電極(脳波モニタリング)を設置した。採取しておいた自己血を環椎後頭間膜から注入し、くも膜下出血モデル(1回注入モデル)を作成した。皮質電位測定において脱分極時間を脱分極からコントロール値の80%まで回復した時間と定義した。さらに脳波抑制時間を脳波が減弱してからコントロール値の40%まで回復した時間と定義し、脱分極時間と脳波抑制時間の関係を評価した。くも膜下出血モデル作成後1週間で脳の灌流固定を行いHematoxylin-Eosin染色でDC電極部の組織障害を評価した。DC電極刺入部の大脳皮質第5層(錐体細胞)で核の凝集、細胞質の空砲化を組織障害とみなし組織障害度(障害を受けた細胞数/全細胞数×100 (%))を算出した。 16か所の電極挿入部で皮質電位測定と脳波モニタリングが可能であった。全ラットにおいて1時間でくも膜下出血前の膜電位に回復した。すべての脳波においてくも膜下出血作成後超急性期に脳波の平坦化、徐波化が確認された。脳波の減弱は数分持続し、最終的にくも膜下出血前の脳波に回復する例もあったが、回復しない例も存在した。4か所でcortical spreading depression のパターンを呈した。これらの平均脱分極時間は0.55±1.3分であり、脳波は平均23.4% ± 7.1%まで低下したがすべてコントロールレベルまで回復した。脱分極時間と脳波抑制時間は有意な相関を示した。さらに脳波抑制時間と組織障害度においても有意な相関を認め、プロビット分析により組織障害度50%をきたす脱分極時間は15.9分、脳波抑制時間は53.7分であった。現在投稿に向け、原稿を執筆中である。
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