研究課題/領域番号 |
16K10730
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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研究分担者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136)
浪岡 愛 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60748995)
中崎 公仁 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70722461)
浪岡 隆洋 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70748996)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨髄間葉系幹細胞 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞においては、閉塞血管の灌流領域の脳代謝および機能は低下し、脳実質や脳血管は脆弱化している。一方、近年、血栓溶解療法や脳血管内治療の急速な進歩により、閉塞血管の再開通率は80-90%に至っている。このため、脆弱化した脳実質組織や毛細血管に対して、急速に血流が再開されることよって、脳細胞障害や出血性合併症等を引き起こす再灌流障害は、極めて重要な病態となってきており、急いで対応すべき課題となっている。 我々はこれまで、脳梗塞動物モデルを用いた基礎研究で、骨髄幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)の静脈からの全身投与が治療効果を有することを多数報告してきた。 治療効果のメカニズムとして、①神経栄養因子を介した神経栄養・保護作用、②サイトカインによる抗炎症作用、③脱髄軸索の再有髄化、④損傷軸索の再生、⑤軸索のSprouting、⑥血管新生による血流増加、⑦神経系細胞への分化による脳細胞の再生、⑧免疫調節作用などが、多段階に作用することが判明している。更に近年、これらの作用メカニズムに加え、⑨血管内皮細胞やペリサイトを再生させ、血液脳関門(blood brain barrier: BBB)を修復する治療メカニズムも報告している。 本研究では、一過性中大脳動脈閉塞モデルを用いて、再灌流障害に対する骨髄幹細胞移植の治療効果を詳細に検討することを目的とする。さらに、血栓溶解療法(tPA静脈内投与)と細胞移植治療との相互作用を解析し、tPAの副作用に対する軽減効果についても検討しており、補助金は適切に使用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究費を用いて、SDラットを用いて、intraluminal thread法で一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)モデルを作成し、閉塞時間による再灌流障害による虚血脳の再灌流障害の病態生理の解析ををMRI、組織学的、行動学的手法を用いて行なっており、計画は現在までに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、SDラットを用いて、intraluminal thread法で一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)モデルを作成し、骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に投与し、治療効果を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に従い、予定通り研究は進行したが、当初予定より、若干、安価な物品を使用することが可能であったことから、予定より、24920円の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本計画の予定通り、ラット代、試薬代、キット代などの消耗品として適切に使用する予定である。
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