研究課題
近年の脳血管内治療の進歩に伴い、急性期の再開通療法の再開通率は80-90%にまで上昇している(ISC2015)。さらに、protection deviceによる遠位塞栓の予防法を併用した頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS)の短期および長期治療効果および安全性の証明を受けて、内頚動脈狭窄症に対するCASの重要性はますます高まっている(脳卒中治療ガイドライン2015)。一方、我々は、今までに脳梗塞などの動物実験モデルに対する骨髄幹細胞の静脈からの全身投与が治療効果を有することを報告してきた。一般に留置されたステントの内壁は3カ月間で内膜が形成すると言われており、その期間中、抗血小板の内服を必要とする。また、ステントを留置された一部の症例は、ステント内血栓症や再狭窄を生じるため、臨床的に問題となっている。ステント内血栓症とは、留置したステントに血栓化が惹起され、頚動脈の閉塞、または、血栓性の塞栓症を引き起こし、脳梗塞の発症など重大な転帰をたどることがある。また、再狭窄をきたす症例では、ステント留置術により内膜と中膜の亀裂、解離が生じ、中膜の弾性線維、平滑筋細胞が伸展することにより、炎症反応を惹起させ、新生内膜形成を誘導されるが、その内膜新生が過剰に起こり、ステント内再狭搾が発症すると考えられている。これらのステント内血栓および再狭窄に対して、抗血小板療法では予防できない症例が少なからず存在する。これまでに、ステント留置術を施行した内膜損傷動物モデルに対して、骨髄幹細胞移植を行い、ステント内膜形成に及ぼす影響に関する検証を行っている。以上より、補助金は適切に使用されている。
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