研究実績の概要 |
申請者は虚血耐性現象(Ischemic pre-/post- conditioning )に ミトコンドリアKATP チャンネルの活性化が関与していることを電気生理学的に報告してきた。しかし本チャンネル活性化が虚血耐性を獲得するより詳細は機序は不明である。申請者はミトコンドリア局在KATPチャンネルの活性化によってミトコンドリアからのCa2+が放出され、これが細胞膜のNMDA受容体反応を低減させ、このことがEPSCの低下をもたらし、虚血耐性を獲得するという仮説を元に、虚血耐性現象を臨床応用臨床応用に展開するための基盤研究として本研究ではより詳細な機序の解明を行う。まず、4-8週齢のC57BLマウスを用い、海馬スライス標本を作製する。ホールセルパッチクランプ法を用いてspontaneous EPSC(sEPSC) 、NMDA受容体電流、細胞内Ca2+濃度を測定した。結果としてPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬によりNMDA受容体電流は、コントロール群と比較して有意に抑制された。また、Post-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬投与により細胞内Ca2+濃度上昇はコントロール群と比較して有意に抑制された。さらに細胞外Ca2+をfreeにするとPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬により再灌流時の細胞内Ca2+の増加は抑制された。よってPost-conditioning, ミトコンドリア局在KATP 開口薬による細胞内カルシウム濃度の上昇が抑制されるのは主に細胞外からのNMDAを介したCa2+の流入抑制であることが示された。
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